[其ノ二 FX 投資戦略編]ポンド/米ドルの買い QE縮小延期なら割安で景気◎の英ポンド
「米国の量的緩和縮小の開始時期」が為替相場のメインテーマだが、どうも後ろ倒しになりそう?

米国の量的緩和縮小は3月が有力か。早まれば円売りが正解!

米国の財政審議の難航や雇用統計などの下ブレを受けて、市場では来年3月FOMC(連邦公開市場委員会)まで量的緩和の縮小開始が延期されるとの見方が広がっています。12月のFOMCでの縮小を見込む向きは少ない状況です。

量的緩和縮小の遅延は米ドル安要因ですが、ではどの通貨に対して米ドルを売ればいいのでしょうか。その答えは、どの通貨が相対的に上昇しやすいかという点に尽きます。

最も上昇しそうなのは英ポンド。景況感の改善ほか、インフレ率も前年比2・7%とイングランド銀行(中央銀行)のインフレ目標の上限に近い状況が続いています。さらに、英国では住宅市場の回復が顕著で、一部にバブルを懸念する向きすら出てきています。かつ、英ポンドは長期的に見て依然として低い水準にあり、上昇余地が残されています。

豪ドルも有力候補です。中国の景気後退一服もあって、5〜8月の大幅下落分を取り戻しながら、豪州準備銀行(中央銀行)の利下げ期待の後退も上昇に寄与。ただし、豪ドルの持続的上昇は中国景気の再加速次第です。

NZドルは主要通貨の中で最も利上げ開始が早い通貨として大きく上昇してきましたが、市場は好材料はほぼ織り込み済みで、上昇余地は限定的です。すでに過去にNZ準備銀行(中央銀行)がNZドル売り介入を行なった水準にあり、ここからのNZドル買いには慎重さが必要です。

ユーロも景況感改善が明確ですが、インフレ率は前年比0・7%と非常に低く、住宅市場もドイツは活況だが、ユーロ圏全体では低調。足元のユーロ高には行きすぎ感があり、ギリシャやイタリアなどの対外競争力を弱め債務危機からの脱却を遅れさせるため、ユーロ高は長続きしそうにありません。

円は、ハト派的なFOMCを受けて米ドルが下がれば円高圧力を受けますが、日本では異次元緩和とインフレ上昇による円安圧力が継続し、上昇しにくい通貨です。米ドル/円は、タカ派的なFOMCで買う最有力候補ですが、ハト派的なら相対的に小動きにとどまる傾向でしょう。

12月のFX天下分け目スケジュール

1位 6日(金)米国・11月の雇用統計
為替への影響:円安

2位 18日(水)米国・FOMC金融政策決定
為替への影響:円安

3位 1日(日)中国・11月製造業PMI(購買担当者指数)
為替への影響:円安

4位 3日(火)豪・RBA(豪州準備銀行)金融政策決定
為替への影響:円安

5位 12日(木)NZ・RBNZ(NZ準備銀行)金融政策決定
為替への影響:円高

6位 5日(木)ユーロ圏・ECB(欧州中央銀行)金融政策決定
為替への影響:円高

7位 5日(木)英国・BOE(英国中央銀行)金融政策決定
為替への影響:円安

8位 27日(金)日本・11月の全国コアCPI(消費者物価指数)
為替への影響:円安

9位 16日(月)日本・12月の短観調査
為替への影響:円安

10位 20日(金)日本・日銀金融政策決定
為替への影響:円高

※上記スケジュールは予定で、変更になる場合があります。

一刀両断!12月の為替レンジ

米ドル/円
レンジ:97〜103円
トレンド:円安
現在地:98.0円

ユーロ/円
レンジ:135〜125円
トレンド:円高
現在地:131.5円

豪ドル/円
レンジ:92〜100円
トレンド:円安
現在地:92.7円

NZドル/円
レンジ:75〜85円
トレンド:円高
現在地:81.6円

英ポンド/円
レンジ:155〜165円
トレンド:円安
現在地:157.7円

南アランド/円
レンジ:9.6〜10.6円
トレンド:円安
現在地:9.5円

※現在値は2013年11月7日現在。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
プレビデンティア・ストラテジー 外為ストラテジスト

日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、RBS、バークレイズなどでチーフFXストラテジストを務め、2013年8月、外為市場調査を行なうプレビデンティア・ストラテジー設立。デイリーとウィークリーで外為戦略レポートを執筆、配信している。http://praevidentia.com



この記事は「WEBネットマネー2014年1月号」に掲載されたものです。