紀伊國屋書店さんの“神対応”?レジでしつこいあの質問、「やめて」とお願いしたら…
この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は人気放送作家の林賢一氏が、店舗のレジで料金を支払う際に店員さんの発する、ときに煩わしくも感じるあのフレーズの謎について迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】
紀伊國屋書店 新宿本店様
Amazonは便利だ。
だが、本屋でしか味わえない紙の質感や色具合がある。むろんどちらが正解という問題ではない。使い分ければいいのだ。100%購入を決めているものや重い本はAmazon、それ以外は実店舗で購入するように自然となった。
リアル書店も、ただただAmazonに客を取られるわけにはいかない。再販売価格維持により本の値段で競うわけにはいかず、主にポイントサービスによって客を引き留めにかかっているようだ。大型店のジュンク堂・丸善・文教堂の「hontoポイントサービス」、紀伊國屋書店の「紀伊國屋ポイントカード」などがあり、100円で1ポイントがたまるシステムが基本だ。
このシステム自体はありがたいのだが、私は特定の本屋で買い物するのを好まないため、どのポイントカードも持っていない。つまりはさまざまな本屋で物色をするのが好きなのだ。
するとどうなるか。
「ポイントカードをお持ちですか?」
この言葉をレジで何回も聞くことになる。そして、無駄な「いいえ」を何回発音しただろうか。もう勘弁してほしい。ある時には「私、ポイントカードは持ってませんよ」的な顔を一生懸命したこともあるが、結果は……
「ポイントカードをお持ちですか?」
渾身の顔芸は無駄だった。どうにかこの「ポイントカードをお持ちですか?」攻撃をなくす方法はないのだろうか?
そこで紀伊國屋書店新宿本店さんに直接聞いてみた。
「毎回、『ポイントカードをお持ちですか?』と聞くのを、やめてもらえませんか?」
担当者 (ゆったりした話し口調で)えーっと……そうですね、ポイント会員になるといろいろお得なことがあるということで、ご案内させていただいているんですけど……。100円で1ポイントたまりまして、次回以降1ポイントからご利用いただけますので、はい。
--ポイントカードを持っていたら、そもそも出しているのに、と思いまして。毎回「持っていません」っていうのが正直、ちょっと面倒くさいのですが。
担当者 あー、申し訳ございません。売り場で徹底しておりますので、毎回ご案内してしまっているのです。
--それはマニュアルでしょうか?
担当者 はーい……。そのようになっていますね。
--気持ちよく買い物をしたいので、どうにかしてやめてほしくて……。
担当者 ああー、申し訳ございません。
--難しいですかね?
担当者 そーですね……。ポイントカードを出し忘れている方が思い出してくださったりすることも、あったりしますので。
--「ポイントカードをお持ちですか?」というフレーズは、忘れている人用ということでしょうか?
担当者 そうですね、新規でお申し込みの方もいらっしゃいますけども、たまに「あ、持ってるわ」っておっしゃってくださる方もいらっしゃいますので。
--なるほど
というわけだった。
●数日後に同書店に行くと、なんと…… とはいえ、リアル書店に買い物に行く習慣は変わらないので、数日後、今回問い合わせたばかりの同書店に行き、ふと思った。スーパーのレジ横に置いてある「ビニール袋いりませんカード」のように、本屋にも「ポイントカードありませんカード」を用意してもらって、それを本と一緒にレジに出せば、と。でも、そこまでするほどの大きな問題じゃないしなあ、などと思いながらレジで本を出した。
すると……
「1500円になります」
え?
「カバーはおかけしますか?」
え?
言わないの? ポイントカードのくだり。
その後、支払いを済ませるまで「ポイントカードはお持ちですか?」発言はなかった。隣のレジにも耳を澄ましたが、店員さんが言っている様子はなかった。
歴史が変わったのかもしれない。紀伊國屋書店がイチお客の声を真摯に聞いて対応してくれたのか、もしくは私の顔が相当な「ポイントカード持ってない顔」だったか。そのどちらかであると信じたい。
(文=酒平民 林賢一/放送作家)
・林賢一(はやし けんいち)
1979年、五反田生まれ。放送作家/脚本家。学生時代から古舘プロジェクトで修業。
映画監督・入江悠と仲間たちが映画を愛する人々へ贈るメルマガ【僕らのモテるための映画聖典】(http://www.mag2.com/m/0001320971.html)で「新作映画のカット数を数える」という無謀な連載中。是非ご一読を。



