株式やFX(外国為替証拠金取引)投資家が知っておくべき相場情報の一つが「アノマリー」だ。アノマリーとは、“論理的に説明できないものの、頻繁に繰り返される相場の法則”のことだ。投資資情報会社の社長などを歴任し、現在は「為替の学校」M2JFXアカデミア学長でもある吉田恒氏が為替相場に関する12月のアノマリーについて解説する。

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 1年前の12月中旬に安倍政権が誕生しました。これを受けて、アベノミクスの結果とされる円安、株高が一気に加速。この12月はほぼ一本調子のドル高・円安で、値幅も5円近くに達する大相場となりました。ただ、12月のドル円大相場というのは、決してこの2012年がアベノミクスのおかげで特別だったわけではなく、そもそも12月は大相場になりやすい「アノマリー」があります。

 1年間の最後の月となる12月は、実は為替はよく動く月なのです。ドル円の12月の値幅平均(2000〜2012年)は5.3円。これは3月の同6.1円(2000〜2013年)に次いで、1年12か月では第2位の大幅な値幅です。

 そしてこれはドル円に限ったことではありません。ユーロドルの12月値幅平均(2000〜2012年)は678ポイントで、これは9月の同686ポイント(2000〜2012年)に次いで第2位の大幅な値幅でした。ドル円もユーロドルも、1年間で1、2番目に大きく動くのが12月なのです。

 ただそんな12月は、大きく動く時期が限られているというのです。12月はクリスマスがあります。欧米の投資家はクリスマス休暇をたっぷり取るため、12月中旬から下旬にかけては、為替相場も全く動かなくなってしまうのが普通です。

 その割に1か月の値幅で見ると大きくなっていたのは、クリスマス休暇を除いたところで大きく動くケースが多かったということです。特に、12月上中旬には、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の年内最後の会合が行われますが、これが年内最後の波乱相場になることがこれまでは結構ありました。

 ところで、もう1つ、12月を含む年末の為替で代表的な「アノマリー」として、かつてはユーロ高・ドル安が大幅な動きになりやすいということがありました。これは、欧米企業の決算に関連した需給の影響などがあったと考えられました。 ただ、2010年以降、欧州債務危機、ユーロ危機が広がる中で、「年末のユーロ高」というアノマリーで説明できないユーロ安が目立つようになりました。

※マネーポスト2014年新春号