『マンガはなぜ規制されるのか』(平凡社新書)

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 2013年、臨時国会は特定秘密保護法を成立させ、8日に閉会となった。そして、年明けからの通常国会では、ついに児童ポルノ法改定案が審議され、可決される可能性が高い。いよいよ規制強化に反対するべく、最後の抵抗の時がやってきたのか。

 現在、児童ポルノ法改定案として提出されたのは、今年春に自民党政調会長の高市早苗衆議院議員を中心にして提案されたもの。すでに、今年の通常国会では提出されたものの、重要法案が山積みの臨時国会では審議が行われないまま、会期終了となった。

 しかし、これはちょっとばかり時間が稼げたに過ぎない。ご存じの通り、改定案を提出した自民・公明・維新は国会では多数派。比較的規制に慎重な姿勢を示す民主・みんなの党などが、反対の意思を示しても、押し切られる公算が非常に高いのだ。それどころか、現状では、ロクに抵抗もできずに可決してしまう可能性がある。

 今回、提出されている改定案の問題点は、かねてより批判されている「児童ポルノ」の定義に手を入れることなく、所持の禁止、将来の二次元規制に向けた「3年後をめどにした調査研究」の2点である。同法案成立後にいきなり、所持名目で摘発される人が増加したり、マンガ・アニメ産業が崩壊するとは思わない。しかし、さまざまな法律と同じく、ジワジワと二次元規制への情勢を悪化させていく可能性は否定できないのだ。

 果たして、これに対抗できる運動は存在するのか? 日本雑誌協会では、11月に改定反対を訴える意見広告を作成。各誌に掲載を呼びかけている。また、すでに報じた通り、みんなの党所属の山田太郎参議院議員の呼びかけで、出版・マンガ家・作家らの諸団体の共同行動が模索されるなど、さまざまな形で規制強化に抵抗する動きは準備されつつある。

 しかし、どこまで抵抗できるかは、まったく未知数だ。特定秘密保護法案に対する反対は、最後の最後に「なにを今さら」といった形での盛り上がりはあった。児童ポルノ法改定案が同様の盛り上がりを見せるかといえば、やはり困難であろう。左派の側に属する人であっても「児童ポルノ」といった言葉を聞いただけで、そこに秘められた規制の欲望に気づくことなく扉を閉じてしまう人は、いまだ多いのだ。

 すでに所持自体の禁止と二次元規制に対する抵抗は10年を超えた。その中で、問題点に気づく人の数はぐっと増えただろうが、それでも国民総体の議論とはなっていない。児童ポルノ法改定案成立以後も見据えて、馬の骨のような表現の自由まで、どのように守り抜いていくかを、真剣に考えなくてはならない。
(文/昼間 たかし)