[其ノ一 株ファンダ編]調査アナリストを拡充中。外資格付けの裏を行け!
今年の?王様〞銘柄ナンバーワンといえばソフトバンク、という声が多数。そのソフトバンクも外資系証券会社の投資判断引き下げで急落しました。この事象を逆手に取るには?

現時点で「買い」推奨が多い銘柄ほど急落リスクが高い?

残すところ2013年の株式市場もあと1カ月と少しですが、久々に活気がありますね。今年のベスト銘柄は何だったか?

これは人それぞれではありますが、やはりソフトバンクでしょうか。時価総額でメガバンク3行をごぼう抜きにして、今やトヨタ自動車に次ぐ時価総額2位企業へと変貌しました。

日本株全体が軟調だった10月前半。この時期にも孤軍奮闘で逆行高していたのがソフトバンクでした。そのソフトバンクが10月9日に突然急落しました。この日の売り材料になったのは、外資系証券による投資判断の引き下げ。株価は企業価値を常に適正に反映しているわけではありませんので、いったん動きだすと割高か割安か、まったくわからなくなります。こういった銘柄については、アナリストの投資判断が影響することが往々にしてあります。

今年は外国人による大幅な買い越しとなりましたが、それは証券会社による日本株営業のたまものといった側面もあります。秋口に開催された機関投資家向けのセミナーでも、いまだ外国人投資家が非常に多く参加していたようです。?まだ商機アリ〞と見込み、外資系証券の中には日本株調査の強化を掲げ、アナリストを拡充しているところもあります。今後、さらに投資判断の変更が相次ぐ可能性は大。とりわけ外国人の注文が多い外資系証券の投資判断変更は注目されます。

今回のソフトバンクの例でもわかるように、投資家にとってリスクになるのは?投資判断引き下げ〞です。「買い」が「中立」に引き下げられるのは、「一度外したほうがいい」との指令を意味します。つまり、現時点で「買い」推奨している証券会社が多い銘柄ほど将来的に売られるリスクが大きいということです。最上位で評価されているものが変更される場合、レーティング的に次は下げるしかないわけですから。

逆に、「売り」を「中立」に引き上げれば「カラ売りしている分を買い戻しましょう」という指令。「売り」推奨の段階でカラ売りポジションを取るケースが多く、現状の評価が低い銘柄ほど将来的に買われる(買い戻される)可能性があります。好例としては、セイコーエプソンです。この株は1月の安値674円に対して、10月の高値が1869円。欧州景気の悪化で前期は赤字、アナリスト評価も「売り」に傾き、ヘッジファンドのカラ売りがたまっている銘柄となっていました。

それが、今年に入ってアナリストが「中立」に引き上げたことで見方が一転し、強烈な買い戻しを巻き込む形で急騰したのです。

優等生の評価を受けていると、小さなミスが大きく見えるもの。逆に低評価であれば、小さな成功でも称賛されますよね。複数社が「売り」とした銘柄に意外な?チャンスの芽〞があるともいえ、これぞ「人の行く裏に道あり花の山」という先人の教えと相通じる戦略かもしれません。

証券会社レーティングの「買い」「売り」集計ランキング!

BEST10

1位 JT(東1・2914)
採用社数:16社

2位 KDDI(東1・9433)
採用社数:16社

3位 太平洋セメント(東1・5233)
採用社数:10社

4位 トヨタ自動(東1・7203)
採用社数:22社

5位 日立製作所(東1・6501)
採用社数:20社

6位 三井住友FG(東1・8316)
採用社数:16社

7位 住友電気工業(東1・5802)
採用社数:11社

8位 ソフトバンク(東1・9984)
採用社数:13社

9位 JX HD(東1・5020)
採用社数:13社

10位 セガサミーHD(東1・6460)
採用社数:13社

WORST10

1位 シャープ(東1・6753)
採用社数:13社

2位 日清食品HD(東1・2897)
採用社数:12社

3位 帝人(東1・3401)
採用社数:10社

4位 清水建設(東1・1803)
採用社数:12社

5位 第一三共(東1・4568)
採用社数:12社

6位 アドバンテスト(東1・6857)
採用社数:14社

7位 日本電気硝子(東1・5214)
採用社数:12社

8位 トヨタ紡織(東1・3116)
採用社数:10社

9位 栗田工業(東1・6370)
採用社数:10社

10位 中部電力(東1・9502)
採用社数:11社

※2013年10月21日現在、証券会社10社以上がカバレッジしている銘柄をピックアップし、「買い推奨」(「ストロングバイ」や「強気」など、各社の規定により呼び名は異なる)または「売り推奨」(「リデュース」「弱気」など)の数を、その“推奨度”によって点数化し、ランキングした。

レーティングアップの可能性大な5銘柄

日清食品HD(東1・2897)
株価(売買単位):4060円(100株)

ゴールドマン・サックス、クレディスイスなど外資系がこぞって売り推奨。「ラ王」袋麺のヒットで業績は好調だ。

清水建設(東1・1803)
株価(売買単位):492円(1000株)

ドイツ証券などが売り推奨するも、中立への引き上げも出始めた。公共投資の増加など、政策が追い風に。

日本取引所グループ(東1・8697)
株価(売買単位):2231円(100株)

カバレッジ社数が7社と少ないが、そのうち売り推奨が4社と多い。株式市場の売買量次第で見方は変わる。

京王電鉄(東1・9008)
株価(売買単位):662円(1000株)

カバレッジ社数5社以上でいえば最も売り推奨に傾く銘柄。保有不動産の資産価値などにも着目したい。

日本電子硝子(東1・5214)
株価(売買単位):516円(1000株)

ガラス繊維事業が今期3期ぶりに黒字転換へ。売り推奨が多いうえ、ヘッジファンドのカラ売り残高も多い。

【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターもこなす。



この記事は「WEBネットマネー2014年1月号」に掲載されたものです。