自動車メーカーやドライバーから「弱い者いじめ」などと反発を受け、注目されていた軽自動車税の見直し内容が固まった。

 現在、年間7200円の軽自動車税は、2015年4月以降に軽の新車を買った人から1万800円に引き上げられる。地方では生活に欠かせないライフラインとして軽自動車を複数台所有する家庭もある。仮に3台乗り換えれば1万円を超える増税となるため、家計の負担は免れない。

 だが、政府与党の中には「このぐらいの上げ幅で決着すれば、業界からの反発もさほど大きくならないだろう」との声が挙がっている。どういうことか。

「増税するといっても小型車の自動車税2万9500円とはまだ3倍近い差があるため、軽のユーザーが一気に普通車に流れることはないだろうし、軽の販売台数が増税によって極端に落ちることも考えにくい。

 また、『大幅増税なら、軽自動車規格の排気量や車体の大きさを変更すべき』と言い出しかねなかった鈴木修・スズキ会長の矛先を収めさせることもできる妥当な額。自動車業界の重鎮で、永田町や霞が関にも顔が利く鈴木氏の主張も汲んだ」(全国紙記者)

 鈴木氏は12月5日、関係各省の官僚や国会議員らのもとを訪ね、増税反対を強く訴える行動に出たため、何らかの妥協案が考慮されたのかもしれない。

 しかし、「今回の増税は消費税と同じでこの額でとどまるとは思えない」と話すのは、自動車ジャーナリストの井元康一郎氏だ。

「ただでさえ車離れが叫ばれているのに、ろくに産業振興も考えずに自動車ユーザーから一般歳入の約1割に相当する7兆円超もの税金を払わせているほうがおかしい。それでいて、軽自動車だけ負担が少ないという理由で増税を繰り返していたら、ますますドライバー人口は減っていきますよ」

 さらに、高速道路料金の割引制度を縮小する方針も出されている。車を購入しても高い税金がかかり、道路を走れば通常の高速料金が徴収される日本で、この先モータリゼーションの拡大など見込めるはずがない。

 幸い、消費増税前の駆け込み需要や、景気回復の追い風を受けて新車販売は好調。なかでも新車市場の4割を占める軽自動車の販売台数は5か月連続で増加するなど、自動車メーカーの大事な収益減となっている。この勢いを増税で止められたらかなわないというのが各社の本音だろう。

 そこで、2015年4月の増税までに一層の“軽特需”が起きると予想するのは、前出の井元氏。

「消費増税前の駆け込みプラス、自動車税の引き上げ前に軽を買おうという人が増えるのは間違いありません。メーカー側としても、『N BOX』シリーズが売れているホンダや、燃費向上で凌ぎを削るスズキやダイハツを中心に、軽自動車の販売合戦が繰り広げられるかもしれません」

 今後、軽自動車よりも小さい「超小型モビリティー」も注目される中、一度自動車に関わる複雑な課税制度のあり方自体を見直してもいいのではないか。