どんな口座で取引したかで、株式投資の利益に関する確定申告の手間はかなり異なってくる。まずは自分の口座を確認しよう!口座のタイプで申告方法が異なる株式投資を行なうために証券会社で開設する口座には3つのタイプがある。そして、3つのいずれの口座で取引したかで、株式の売却益(譲渡所得)の申告方法が変わってくる。まず、「源泉徴収あり」の特定口座を選んでいれば、証券会社が個々の取引ごとに税金を計算して源泉徴収済みだ(利益から税金が差し引かれている)。したがって、確定申告を行なう必要はない。しかし、複数の証券会社で取引を行なっていて、いずれかで損失が出ている場合は確定申告を行なったほうが節税につながる。それぞれの損益を通算してみると、税金を払いすぎているからだ。同じ特定口座でも「源泉徴収なし」のタイプを選んでいたら、原則、確定申告を行なう必要がある。証券会社から「特定口座年間取引報告書」が送られてくるので、それをもとに申告手続きを済ませよう。前述の2つには該当しなかった人は、「一般口座」を選択していたことになる。証券会社から送付された個別の取引報告書をもとに、自分で計算明細書を作成しなければならない。ただし、一般口座を選択していても、右ページのカコミに記した3つの条件をすべて満たしていれば、確定申告の義務はない。

売却損と配当との損益通算も可能ところで、株式の売買で大きな損失が発生し、損益を通算してもまだ "お釣り" があるという状況もありがちだろう。そのような場合は、翌年以降に損失を繰り越して利益と通算する「繰越控除」(最長3年)も認められている。さらに、税理士の林さんはこうアドバイスする。「申告分離課税方式で配当の申告も行なえば、上場株式等の売却損(譲渡損失)を配当と通算することも可能です」上場株式等の場合、配当を受け取った時点ですでに税金が源泉徴収済みで、通常なら確定申告は不要。しかし、あえて申告することで節税を図ることが可能なのだ。あるいは、課税対象となる年間所得金額が330万円以下の場合も、確定申告をして「配当控除」の適用を受けることで、納めすぎた税金が戻る。その際は「配当控除」の対象となる「総合課税」を選択しよう。


林 裕二林税理士事務所法人税、所得税等の決算申告業務や税務相談、企業内セミナー講師、原稿執筆等に従事。ファイナンシャル・プランナーとしては、独立系FP会社、証券アナリストや保険コンサルタントとの共同による包括的コンサルティングを行なう。「くりっく365」のセミナーでは講師も務める。
―--この記事は「WEBネットマネー2012年3月号」に掲載されたものです。