大震災に米国債格下げ、欧州債務危機とショックの連続で2011年の相場は大荒れだったが、それでもちゃんと利益を出したという人は、一部のケースを除いて確定申告が必要になる。また、保有中の銘柄に年内駆け込みでクロス取引を仕掛けて節税を図ることも可能なのだ!年間の利益が20万円以下でも申告したほうが有利現物株や信用取引で得た利益は、税制上は株式の「譲渡所得」として課税対象となる。逆に損失は「譲渡損失」で、ほかの株取引で発生した売却益や配当、投資信託の分配金からその分を差し引く損益の通算が可能だ。利益を大幅に上回る大損を被ったら、翌年以降に繰り越して最長3年にわたる繰越控除も認められている。もっとも、損益の通算後の年間売却益が20万円以下のサラリーマン(給与所得者)なら確定申告は不要。20万円超の儲けがあっても「特定口座(源泉徴収あり)」で取引していれば、すでに納税済みなので申告の義務はない。ただし、あえて申告したほうが有利になるケースもあるので注意!たとえば、複数の証券会社で取引している場合で、A口座が15万円のプラス、B口座が13万円のマイナスというような場合には、申告をすれば還付を受けることができる。それぞれ自社口座内でしか損益通算されておらず、すべてを通算すると税金を払いすぎていることも多い。一方、「簡易申告口座」(源泉徴収なしの特定口座)の人も、証券会社発行の「特定口座年間取引報告書」を添えて、確定申告を行なう。さらに、「一般口座」を選択している人は、証券会社から送られてきた個別の取引報告書をもとに自前の年間取引明細書を作成し、確定申告を済ませることになる。最後に、年内いっぱいなら間に合う節税ネタを付け加えておこう。該当するのは、?含み損発生銘柄を保有中で、すでに別の銘柄で利益確定させた人、?含み益発生銘柄を保有中で、すでに別の銘柄で損失確定させた人。どちらも年明け前に保有銘柄への「クロス取引」を検討すべきだ。ここでいうクロス取引とは「その銘柄をいったん売って、すぐに買い直す」ことを意味する。そうすれば、すでに確定済みの損益と通算でき、その分だけ節税できるのだ。
林 裕二林税理士事務所法人税、所得税等の決算申告業務や税務相談、企業内セミナー講師、原稿執筆等に従事。ファイナンシャル・プランナーとしては、独立系FP会社、証券アナリストや保険コンサルタントとの共同による包括的コンサルティングを行なう。「くりっく365」のセミナーでは講師も務める。
―--この記事は「WEBネットマネー2012年2月号」に掲載されたものです。