精神科医・名越康文さんが説明する「なぜ人はSNS疲れを感じるのか?」

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気軽に情報発信ができるSNS。とはいえ、誰が見ているかわからない怖さというのもありますよね。それを怖がるあまりに、なんとなくSNSでネガティブな事は書きづらい……という気持ちになったことは誰しもがあるのではないでしょうか?

 

■SNSユーザーの60%が「言いたいことを言えない」

『トレンド総研』の「最新SNS事情」調査によると、約60%の人が「SNSに投稿する際に、自由に言いたいことを投稿できない」と回答していることがわかりました。その理由は「悪い印象を与えたくない」「仕事関係の人や、昔の知り合いに見られている」など、“自分がどう見られているか?”ということを気にしているためのようです。

「SNSにはポジティブなことは投稿したいが、ネガティブなことは投稿したくない。」、「この投稿をしたら自分はどう思われるだろう?」という思考が、いわゆる「SNS疲れ」を生み出しているとも言えるかもしれません。

 

■SNSは死後の世界を先取りしたサービス!?

同調査で精神科医の名越康文さんは、「SNSは死後の世界を先取りしたサービスだといえるかもしれない」と話しています。SNSの中では、意識だけが肉体から離れ、今すぐ世界の裏側にだって行けますよね。これにより、人とつながりたいという“本質的な欲求”や、自分の投稿が「いいね」などの評価をうけて、自分が価値のある存在だと感じることができる“承認欲求”、自分に注目が集まる“集中欲求”を満たすことができるというのです。だからこそ、人はSNSに夢中になるのだ、と。

 

■SNSの中では、人間は無意識的に一貫した自己像(キャラ)を保とうとしてしまう

しかし、様々な欲求を満たしてくれるSNSは、同時に精神的な負担も強いることになります。人は本来多面的であるにもかかわらず、SNSの中では、無意識的に一貫した自己像を保とうとしてしまうからなのだそうです。その結果、「見ている人たちを裏切ってはいけない」、「ネガティブなことは書けない……」と、自分で自分を追い込んでしまうのだとか。

様々な人と繋がることができるSNS。実名の良さ、匿名の良さ、それぞれにメリットデメリットがあります。また、あえて人と繋がらないSNSというのもありますし、ブログや掲示板など、自分の意見を発信できるところは様々です。その特色を生かして使い分けるスキルが、今わたしたちに1番求められているのかもしれませんね。