米ツアーではもうおなじみになったダフナリング こんなキャラづけで選手をアピールするのもあり? 撮影:舩越園子

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 今季の日本ツアーは入場者数の激減に泣いた大会が目立ったと、日本のゴルフ界関係者がこぼしていた。雨にたたられた日本オープンは、その代表例。最終戦の日本シリーズJTカップは、前週に優勝して賞金王を確定させた松山英樹が故障で泣く泣く欠場したこともあり、淋しいムードが漂ったようだ。
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 日本のゴルフ界のスターという存在は、そのときどきに1人、もしくは2人ぐらいしかおらず、そのスターが何かの理由で不在となると、それはイコール、スターが皆無の状況と化す。現在は松山。数年前は石川遼。それ以前は丸山茂樹。日本のスターが海外に飛び出していくたびに、これから日本のゴルフ界はどうなってしまうのだろうという不安ばかりが関係者の間で膨らんでいく。
 だが、米ゴルフ界には、いつの時代にもスター選手がたくさんいる。もちろん、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンのように突出した存在となると、やっぱり1人か、せいぜい2人ぐらいしかいないのだが、それ以外にも、何万人、何十万人のギャラリーを呼べるスター選手がたくさん存在している。
 それは、なぜなのか。その差は、どこから来るのか。それぞれのゴルフ界の層の厚さ、ゴルファーの絶対人数の差はもちろんある。が、もっと大きな違いは「スターを創出しているかどうか」の差であろう。
 日本はスター性のある選手の登場を心待ちにする受動性が強く見られる。救世主が彗星のように現れてくれない限り、ツアーもゴルフ界全体も盛り上がらないと愚痴をこぼすスター頼みの傾向が目立つ。
 もちろん米国だってスター誕生を待ち望んでいることに変わりはない。が、同時に彼らはスター性があるとは思えないような選手をスターに祭り上げ、仕立て上げる術を持っている。だから、能動的、積極的にスターを増やしていくことができる。近年、そうやって創出されたスターの典型がジェイソン・ダフナーだ。
 どう見てもイケメンとは言い難く、とぼけた風貌のダフナー。彼が最初に大きな注目を浴びたのは2011年の全米プロで惜敗したときだった。以後、調子を上げ、12年に2勝を挙げたダフナーは、戦績面ではスターと呼べるレベルに達し始めたが、一般のゴルフファンの間での認知度や人気は今一つだった。
 だが、13年の初夏のころ、あのダフナリングが大流行したおかげで、ダフナーはまさにスターと化し、そして8月に全米プロを制したことで、彼は押しも押されもせぬビッグスターになった。
 ダフナリング――米ゴルフ界では、今や誰もが知る言葉。あるチャリティに参加し、幼い子供たちと一緒に教室の床に座っていたダフナーのうつろな目とだらっとした座り姿勢の写真。一目見たら思わず吹き出してしまいそうなぐらい、写真の中のダフナーのポーズは、おとぼけムードに溢れていた。
 その写真が流出するやいなや、ローリー・マキロイやバッバ・ワトソン、リッキー・ファウラーといったツアー仲間たちがダフナーのポーズの真似をしては写真に撮って次々にツイート。「僕もダフナーしています=ダフナリング(Dufner+ing)」
 それからというもの、米ゴルフ界では大流行したダフナリング現象を活用するシーンが多々見られた。
 たとえば、今週、ロサンゼルス郊外で開催されたタイガー・ウッズの大会、ワールドチャレンジの会場には、ダフナリングしているダフナーの等身大の写真を切り抜いた看板が掲げられていた。ギャラリーがこの看板と一緒にダフナリングしている自分の写真を撮り、ツイッターで応募するフォトコンテストを行なっていたのである。こうなると、ダフナーの知名度や人気はさらにアップする。
 そして、追い打ちをかけるように、こんな報道もあった。「母校のバスケットボール部の試合を土日に観戦したい一心で、ワールドチャレンジは1日36ホールを2日間行って木金で終了させてほしいとダフナーがタイガーにツイッターで懇願した」というニュース。そして次なるニュースは「タイガーがダフナーのツイートに返信。懇願は却下!」
 こうして、いろんなものをダフナーに向けた環境を作り出せば、会場を訪れた人々のお目当ての選手はタイガー、そしてダフナーという状況ができ上がっていく。
 選手ぐるみ、関係者ぐるみ、そして米メディアも加わって、普通に考えればスターになりそうもなかった選手を人気スターに変えたユニークな例。日本でも真似できるスター創出作戦ではなかろうかと私は思う。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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