日本時代のハンセン病療養所「楽生院」、修復・再開所へ/台湾

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(台北 6日 中央社)日本統治時代の1930(昭和5)年に設立された台湾で最初の公立ハンセン病療養所、「楽生療養院」(新北市新荘区)は2000年代以降の地下鉄の車両基地建設のため、施設の多くが取り壊されていたが、地元関係者や文化部の働きかけで来年にも修復工事が始まり、2020年には医療資料館や人権記念公園なども併設される「ハンセン病総合施設」として利用再開の見通しとなった。6日付の中国時報が伝えた。

台北郊外の「楽生療養院」は開設当初は病舎3棟、入所者100人と小規模なものだったが、ハンセン病患者への強制隔離政策で1969年には病舎61棟、入所者1050人の大型施設となった。1994年に台北メトロの車両基地の建設予定地に選ばれたことをきっかけに、療養施設の歴史的価値や入所者の人権問題などが一般市民にも広く認識されるようになり、2009年には楽生院が当時の台北県(現・新北市)政府から文化的景観と歴史的建造物に指定され、行政院長(首相)も過去にあった患者への差別について謝罪を行った。

楽生院に新しい役割と生命力を与えようと、衛生福利部では同療養所の総合発展プロジェクトをまとめる際に日本の多磨全生園(東京都)の経験を参考にしたほか、楽生院関連の資料の収集なども近日中に始める予定だという。

(写真:楽生院敷地内の一部病舎)

(編集:羅友辰)