今年納めの九州場所は、勝った方が優勝という横綱同士の相星決戦を制した日馬富士が、5場所ぶり6回目の優勝を果たした。
 しかし、いい面でも悪い面でも引っかき回した立役者は、まぎれもなく大関の稀勢の里だった。

 今度こそ7年も途絶えている日本人優勝をやってくれるのでは、と期待されながら、今場所も8日目までにあっけない相撲で2敗。ファンを大いに失望させたと思ったら、終盤、一転して全勝で突っ走り、日馬富士、白鵬の両横綱を目の覚めるような相撲で破った。
 「本命の白鵬を上手投げで裏返しにした相撲はお見事でした。観客席ではスタンディングオーベーションまで起こり、関係者は驚いていましたね。それだけファンは日本人力士の優勝や日本人横綱の誕生に飢えているのでしょう」(担当記者)

 中でもこの横綱戦連勝を喜んだのは北の湖理事長だ。「両横綱を負かしての13勝は優勝に準じる成績と言っていい」と、いち早く来場所の綱取りを示唆した。何としても稀勢の里を初場所の目玉にして人気復活を、と意欲を燃やしているのだ。

 ただ、心配もある。2年前に先代の鳴戸親方(元横綱・隆の里)が急逝して以来、稀勢の里にはこれといった参謀が皆無。このため、ここ一番という勝負どころでことごとく失敗している。勝てば優勝、あるいは綱取り継続の可能性があった今年の夏場所、名古屋場所の千秋楽も完敗だった。
 「現師匠の鳴戸(元幕内隆の鶴)は名前だけの師匠で頼りになりません。綱取りには異常なプレッシャーがかかるので、ひとりで乗り切るのは無理。早くいい相談相手を見つけないと、また同じ失敗に終わる可能性があります」(相撲関係者)

 三度目の正直--。今度こそ、稀勢の里は期待に応えることができるか。