日本ボクシング界でも、前代未聞のドタバタ劇が繰り広げられた。

 12月3日に、大阪・ボディーメーカーコロシアムで行われた3大世界タイトルマッチのメーンイベント、亀田大毅(IBF王者=24=亀田)vsリボリオ・ソリス(WBA王者=31=ベネズエラ)のIBF&WBA世界スーパーフライ級王座統一戦が、あり得ない事態に陥った。

 前日計量で、ソリスが計量に失敗し、体重超過でWBA王座のはく奪が決定。その後のルールミーティングで、試合はそのまま統一戦として行われ、「大毅が勝てば王座統一、負ければ両王座は空位。引き分けの場合は大毅がIBF王座防衛で、WBA王座は空位」となることが確認されていた。

 試合は12ラウンド闘い抜いて、判定に持ち込まれ、1-2で大毅が僅差の判定負け。これにより、大毅のIBF王座陥落となるはずだった。

 ところが、試合直後に会見を開いたIBF立会人のリンゼイ・タッカー氏は「IBFのルールにより、IBFの挑戦者のソリス選手が体重超過だったため、亀田選手は王者のままです。負けという記録は残るが、防衛は認めます」と説明したのだ。

 確かにIBFのルールでは、「王者が計量パスし、挑戦者が計量パスできなかった場合、王者は勝敗にかかわらず、王座を保持するという理解のもとで試合を実施する」との規定がある。ただ、前日のルール確認から一転した発言には、大いなる疑問を残す形になった。

 タッカー氏は「昨日言ったことは覚えていないけれど、そう受け取られたとしたら、それは間違いでした」と弁明。

 JBC・森田健事務局長は「負ければ、チャンピオンではないと、昨日聞いている。IBFが王座を認めるなら、JBCは従うしかない」と困惑の色を隠せなかった。

 試合を生中継したTBSも、その直後に放送された「NEWS23」でも、「大毅防衛」を伝えず。深夜にインターネット上のニュースや、翌日の報道で知ったファンや視聴者は、あ然となったはずだ。

 大毅は試合後に会見せず、4日の一夜明け会見を「ダメージによる体調不良」で欠席したが、亀田ジムの嶋聡マネジャーは「会議で配られた紙で(ルールを)確認した。(IGFから)口頭でも説明があった」と話した。

 放送したTBSを始め、すべてのマスコミが「大毅が負けたら王座陥落」を報じるなか、亀田陣営は「負けても王座防衛」を認識しており、大毅本人も、それを承知でリングに上がっていたことになる。

 減量苦の大毅は、今回の試合を最後にバンタム級に階級を上げる可能性もある。試合当日の計量で、3キロ以上重いソリス相手に果敢に挑んだ大毅の勇気は買うが、「負けてもOK」を事前に知っていたとなると、その勇気も、どうしてもかすんで見えてしまう。

 こんなドタバタ劇を演じていては、IBFという団体、ひいてはボクシングというスポーツの権威を落としかねない。
(落合一郎)