ラスベガスの名門ジムで合宿を行なった村田諒太

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 12月6日にプロ2戦目に挑むプロボクサー・村田諒太(27)。その直前に行なわれた部アメリカ合宿に、ボクシングカメラマン・福田直樹氏が密着した。合宿先であるラスベガスの名門ジム(かつてシュガー・レイ・レナードやフロイド・メイウェザーも汗を流した)では、名伯楽イスマエル・サラスの指導を受け、強豪スパーリング・パートナーにも恵まれていた。

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 恵まれた環境なのは間違いないが、これらはもちろん、村田自身が努力と才能、実績で勝ち取ったものだ。それにしても、ここまでの中量級スター候補が日本からよくぞ出てきたものである。ボクシングを少しでも知っている人なら、五輪の金メダル、しかもミドル級での優勝がいかにとんでもない偉業か分かると思う。

 その栄誉に裏付けられた分厚い攻撃力、強い右ストレートが村田の魅力だが、それだけではない。ルックスが素晴らしく、並外れた探究心がある。サービス精神にも優れている。日本ボクシング史上最大のルーキーであるのは、もとより疑いようがない。だからこそ米国最大手のプロモーション、トップランク社がデビュー前に契約(国外ファイト限定で、帝拳プロモーションと共同プロモート)を結ぶという異例の行動を見せたわけである。

 あえて不安な部分を探すなら、アマチュア時代、そしてデビュー戦で経験していない長丁場の戦いにどう対応するかといったことぐらいだろうか。しかし、そんな心配もハードトレーニングを通して着実に取り除かれている印象だ。

「6ラウンドのスパーリングが短く感じるようになってきました」という頼もしい言葉が、本人からも出ているし、もともと村田の体力はボクサーの中でも群を抜いている。

 ラスベガス郊外で行なっているロードワークにも同行させてもらったが、どこまでも続く大自然の急勾配を、一気に駆け上がっていく持続力とスピードは信じられないほど。ペース配分次第では、世界戦のフルラウンドである12回を、しっかりこなせるようになれるはずだ。いくら見方を変えても、結局は褒め言葉ばかりになってしまうが、本当なのだからしかたがない。

 12月6日の興行は、村田対デイブ・ピーターソン戦の他に世界タイトル戦2試合が組まれる大イベント。「自分が世界の主役になる」と宣言する村田がその2戦目をクリアすれば、次は来年2月、海外進出の第1弾としてマカオでのプロ3戦目が計画されているらしい。

 世界的に見ると、いまミドル級は全階級を通じてもっとも高水準なクラスだ。同級を長らく引っ張ってきたWBC王者セルヒオ・マルチネス、戦慄のKOキングでWBA王者のゲンナディ・ゴロフキン、加えてピーター・クイリンという新進の強打者もIBF王座に就いている。

 村田がそんなビッグネームたちとしのぎを削る日が、さほど遠くない将来に来るのではないか、と夢は広がるばかりだ。

撮影・文■福田直樹(ボクシングカメラマン)

※週刊ポスト2013年12月13日号