あらゆる人にとって資産運用が不可欠の時代となったが、生活資金となる貯蓄の必要性は不変だ。ではそのお金はどこに預ければよいのか。ネット銀行が有利とは限らないという現状を、ファイナンシャルプランナーの池崎美盤さんが指南する。

◎標準利率の引き下げでますます魅力が乏しく

 個人年金保険は、保険会社に保険料を支払い、保険料とその利息を老後に年金としてもらう保険のこと。保険料の運用方法や年金の受給方法などで、いくつかの種類に分かれる。上記の表のように、それぞれにメリットとデメリットがあるが、共通しているのは、補償をメインとした保険というより、利殖を目指した金融商品に近いということだ。

「保険ですので死亡保険金はありますが、基本的には支払った分のお金しか戻ってきません。死亡保障という点では、預貯金とそれほど変わらないといえます」

 支払われる年金は「払い込んだ保険料+運用利息」となるが、現状では運用利息について多くは望めない。比較的保険料が割安な個人年金保険でも、40歳からの20年間の積み立て後、10年間でもらえる年金の総額は、支払った保険料合計額の110%程度。年利回りで換算すると、メガバンクの定期預金と同程度の利回りだ。

「2013年4月に生命保険の標準利率が1.5%から1.0%に引き下げられ、金融商品としての魅力はますます薄れてしまいました。貯金をしようとしても使ってしまう意志の弱い人や、老後資金を確実に貯めたいという人以外は、ほかの金融商品が無難でしょう」

◎個人年金保険料控除の節税メリットは小さくない

 だが、保険商品ならではのメリットがある。個人年金保険料控除である。1年間に支払った個人年金保険料の一部が所得から控除され、所得税と住民税を軽減できる税制である。

「例えば、年間8万1円以上の個人年金保険料を支払った人は、最大控除額となる所得税で4万円、住民税で2万8000円の控除を受けられます」

 この場合の控除とは税率分に等しく、所得税ならば所得税率分だけ税金が軽減されることを意味する。所得税率は、課税所得金額 (サラリーマンの場合、ボーナスなどを含む年収から給与所得控除を引き、さらに所得控除を引いた残額)に応じて変わり、331万〜695万円の人ならば、所得税率は20%となる。すると、所得税で4万円×20%=8000円、住民税は2万8000円×10%(一律)=2800円の合計1万800円の節税が可能となる。

「この節税分をきちんと貯蓄しておけば、銀行の定期預金を上回る運用が可能となります」

 個人年金保険を考えている人は、ぜひ参考にしてほしい。

《個人年金保険が向いている人》

■お金が貯められない人
給料日の直後に保険料の引き落としを設定する

お金を計画的に使えない人
年金は毎月振り込まれるので計画的に使える

老後資金を確実に貯めておきたいと考えている人
定額型は積み立てが可能。運用利回りは低いが確実に年金が受け取れる

●個人年金保険のタイプ

個人年金保険のタイプ

個人年金保険のタイプ

●注目の個人年金保険

注目の個人年金保険

 ファイナンシャルプランナー 池崎美盤さん

ファイナンシャルプランナー
池崎美盤さん

テレビ西日本アナウンサーを経て、NHKニュース専門キャスター、日経CNBCキャスターなどを歴任。現在、NPO法人「ジャパン・リターン・プログラム」専務理事を務めている。