あらゆる人にとって資産運用が不可欠の時代となったが、生活資金となる貯蓄の必要性は不変だ。ではそのお金はどこに預ければよいのか。ネット銀行が有利とは限らないという現状を、ファイナンシャルプランナーの池崎美盤さんが指南する。

◎解約手数料を払ってもネット定期よりも有利

 定期預金以外で、ローリスク&ローリターンの金融商品といえば「個人向け国債」だろう。元本保証はもとより、信用リスクの低さの面では銀行預金を上回るからだ。

「銀行預金は1人1行1000万円までしか保護されませんが、個人向け国債は日本政府が全額保証をしているため上限はありません」(池崎さん。以下同)

 これまで、個人向け国債は金利の低さから、個人投資家からそっぽを向かれていたが、2011年6月のリニューアルから商品性が大幅に改善しているという。

「『固定3』『固定5』には魅力はありませんが、金利の決定方式が変わった『変動10』は検討の余地があります」

『変動10』の金利は「基準金利(直近の10年債平均落札利回り)×0.66」で算出され、7月に発行された43回債は0.86%。この金利が変わらないとすると、1年後に途中解約した場合は、解約料として「税引き後の利息2回分=1年分」が徴収されるため利回りは0%となるが、2年後は年利換算で0.43%(金利の2分の1)、3年後は約0.57%となる(いずれも税引き前)。

「ネット銀行などの定期預金と比べても、実質的な金利は高くなります。一部の証券会社が実施しているキャンペーン(下表)を利用すれば、さらにお得になるでしょう」

 さらに、もう少し高い金利が欲しいという人には社債がある。一般企業が発行する債券で、信用度は国債に劣るが、その分金利は高くなる。ただし、常に発行されているわけではなく、購入するには、販売をしている証券会社に口座開設をして、申し込まなければならない。発行額が少ないと、販売証券会社も少なくなる。

「人気が高い社債は、数分で完売するものもあります」

 社債の発行情報は日本経済新聞にも掲載されるため、こまめにチェックしてほしい。

●最近の「個人向け国債」の利率

最近の「個人向け国債」の利率

『固定3』『固定5』の金利はネット定期と比較しても見劣りする。『変動10』は半年ごとに金利が改定されるが、「市場動向を考えると金利は上昇する可能性が高い」(池崎さん)という。

●7月に実施された「個人向け国債」販売キャンペーンの例

7月に実施された「個人向け国債」販売キャンペーンの例

SMBC日興證券は国債に限らず新規口座開設キャンペーンでかなりのお得度。SBI証券は『固定3』のみ対象だが、50万円で1000円のキャッシュバックは約0.07%利回りアップと同じ(税金を考慮せず)。

●2013年に発行された主な「個人向け社債」

2013年に発行された主な「個人向け社債」

社債の仕組みは国債とほぼ同じで、年2回、半年ごとに利息が支払われる。しかし、簡単に中途換金することはできないので、償還期限まで保有可能な資金で購入することが何より重要となる。

 ファイナンシャルプランナー 池崎美盤さん

ファイナンシャルプランナー
池崎美盤さん

テレビ西日本アナウンサーを経て、NHKニュース専門キャスター、日経CNBCキャスターなどを歴任。現在、NPO法人「ジャパン・リターン・プログラム」専務理事を務めている。