投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の11月18日〜11月22日の動きを振り返りつつ、11月25日〜11月29日の相場見通しを解説する。

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 先週の日経平均は上昇。週末には15500円を突破する局面をみせ、5月23日以来の水準を回復した。週初は、前週の大幅上昇に対する過熱警戒感のほか、バーナンキFRB議長の講演、FOMC議事録、公的年金改革に伴う最終案、日銀金融政策決定会合などのイベントを控えていたこともあり、利益確定の流れが先行した。しかし、日経平均は15000円を支持線として高止まりが続くなど、先高期待の強い相場展開だった。

 その後、バーナンキFRB議長講演やFOMC議事録では、早期の量的緩和縮小との見方が再燃し、円相場は1ドル100円台乗せ。公的年金改革では基本ポートフォリオについては現状のままだったが、新たなリスク資産への投資などを求める提言がまとめられた。日銀の金融政策決定会合では予想通りの内容で利益確定につながる面もあったが、先物主導で日経平均は戻り高値を更新した。

 ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>、ファーストリテイリング<9983>、KDDI<9433>といった指数インパクトの大きい値嵩株の一角に資金が集中する展開となり、NT倍率(日経平均÷TOPIX)は急拡大。21日の上昇局面では日経平均の上昇率が1.92%だったのに対し、TOPIXは1.04%と歪な上昇だった。ただし、週末には米投資ファンド、サード・ポイントがソフトバンクの株式10億ドル相当を取得したと明らかにすると、先高期待が一段と高まった。

 これによりソフトバンクの時価総額が一時10兆円に乗せた。サード・ポイントの取得が明らかになるなか、国際銘柄としての位置づけに。流動性があり、個人主体の短期的な資金も入りやすいほか、指数へのインパクトとの大きい銘柄なだけに、引き続き市場の関心が集まりやすいだろう。

 また、財務省が21日発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(週間、指定報告機関ベース)によると、11月10日-16日の海外投資家による日本への株式投資は3週連続の買い越しとなり、買越額は1兆2949億円と過去2番目の規模だったことも刺激材料になったと考えられる。

 ソフトバンクが相場をけん引するなか、週末の東証1部の騰落銘柄は値下がり数が過半数を占める状況だった。日経平均をみると過熱感が警戒されるのは当然だが、全体としては調整が続いている銘柄は少なくない。週末には円相場が4ヵ月半ぶりに1ドル101円台に乗せてきたが、自動車株の動きは鈍い。低位材料株や中小型株などもテクニカル的なリバウンドにとどまっているように映る。証券優遇税制が年内で終了するため、利益確定が先行しやすい面もある。

 今週もソフトバンクを睨みながらの相場展開が続きそうである。中核銘柄を外すと、収益に結びつきづらい需給状況であるため、ソフトバンクのほか、IPO銘柄などに資金が集中する相場展開になりそうだ。また、今週は28日に米国市場が感謝祭で休場となる。翌29日は短縮取引となり、海外勢による資金流入が減る可能性がある。日経平均の高値警戒感が燻る状況下でもあり、物色の流れは個人主体による材料系の銘柄にシフトする流れもありそうだ。米感謝祭による状況などが刺激材料になることも意識しておく必要があろう。

 そのほか、25日に黒田日銀総裁が「パリ・ユーロプラス・フィナンシャル・フォーラム」で講演する。21日の黒田日銀総裁の会見では、アベノミクスの評価を問われ、「第1の矢」の金融緩和、「第2の矢」の財政出動を含めて「日本経済を緩やかに回復させており、今後も回復が持続すると思っている」と成果を強調。

 その上で「第3の矢といわれている成長戦略が非常に重要」とし、「成長力を底上げするための成長戦略の実行を加速し、強化することが極めて重要だ」と訴えている。22日には衆院財務金融委員会に出席し、現在の株式・資産市場について「バブルは生じていない」と明言。為替については「2008年のリーマン・ショック以後の異常な円高が修正されており、バブル的な円安ではない」と述べている。講演を受けて一段の円安となれば、足元で鈍さが目立つ輸出関連への刺激にもなる可能性が期待される。