「この世界は闇の権力によって支配されている」という考え方を陰謀論という。陰謀論の“主役”としてよく挙げられるのがフリーメーソンやユダヤ人(シオン賢者の議定書)で、ときには悪魔や宇宙人のこともある。オウム真理教はアメリカのCIAとフリーメーソンによって攻撃されているとしてサリン製造を急いだ。

 フリーメーソンはヨーロッパの結社のひとつで、「神とは理性のことである」とする理神論を奉じる啓蒙主義者によってつくられた(中世の石工を起源とするとの説もある)。フランスの三色旗「自由・平等・友愛」の友愛とは、地縁・血縁の伝統社会の人間関係ではなく、異なる階級のひとびとが同じ理想を掲げて戦う結社的友情のことだ。

 フリーメーソンが秘密結社になったのは、革命運動のなかで王政からの弾圧を受けたためだ。近代革命が達成されるとメーソンの会員の多くが社会の主導的地位についたため、有名人クラブのようなものに変わっていった。

 戦後日本でもダグラス・マッカーサーがフリーメーソンだったため、進駐軍の知遇を得ようと入会を希望する者が相次いだ。鳩山一郎はGHQによって公職追放されたあとにメーソンに入会し、追放解除を得て首相の座を獲得した。

 数ある結社のなかで、なぜフリーメーソンだけが「陰謀」とともに語られるのだろうか。そこにはさまざまな理由があるだろうが、ひとびとに強烈な印象を残したのが1980年代にイタリア社会を震撼させたP2事件であることは間違いない。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)