中国 景気底打ちと「上海自由貿易試験区」で盛り上がる中国株市場
特区が成功すれば「リコノミクス」のさらなる進展につながる

今月は中国に注目してみましょう。上海総合指数の動きを見ると、経済指標が改善傾向にあるので中国の景況感に底打ち感が出てきたことや、経済政策への期待などを背景に、この7月末あたりから9月半ばまでは順調に値を戻してきました。とりわけ、政策期待の中心材料となったのは「上海自由貿易試験区」構想というものです。

名前から想像がつくかもしれませんが、これは経済特区の一種。新たに試験区を設立するのではなく、すでに上海に存在する4つの保税区を統合し、約29平方キロメートルのエリアにわたって、貿易や物流、投資や金融の自由化を本格的に進めていこうというもくろみです。

これにより、中国の国際競争力が高まることが期待されます。上海株市場をはじめ香港株市場でも、上海実業や新鴻基地産発展など多くの銘柄が、上海関連株としてにぎわう動きがありました。

その経緯をたどってみると、今年の3月にこの構想を立ち上げ、7月の国務院常務会議で計画案が承認され、8月下旬にはこの試験区エリアが確定しました。そして9月に入って正式に設立されたのですが、驚異的なスピード感ですね。中国政府の本気度がうかがえますが、この計画を主導したのは李克こく強きょう首相です。

特区が成功すれば「リコノミクス」のさらなる進展につながる

そこまでして?急いだ〞理由ですが、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)などの動きが世界的に加速している中で、中国が出遅れている現状への対応と、改革に対する国内抵抗勢力への圧力が挙げられます。

李首相が掲げる「リコノミクス」の3本柱のひとつに構造改革・規制緩和があるのですが、今回の計画を足がかりに改革推進に弾みをつけたいという意欲を読み取ることができます。また、対外開放という外圧を利用して既得権益構造にメスを入れるというのは、かつての小平時代にも見られた手法です。

上海自由貿易試験区が成功すれば、このモデルが全国に拡大していくほか、リコノミクスの順調な進展を意味することになり、中国への資金流入が再加速し、株式市場も大きく上昇する可能性を秘めているといえ、今後の動向が注目されそうです。

土信田雅之(Doshida Masayuki)
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト

新光証券などを経て、2011年10 月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。




この記事は「WEBネットマネー2013年12月号」に掲載されたものです。