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 TBS亀田興毅(27=亀田)のボクシング中継で、前代未聞の大失態を演じてしまった。

 11月19日、敵地・韓国に乗り込んだWBA世界バンタム級王者の興毅は、済州島で同級14位・孫正五(ソン・ジョンオ=32=韓国)と8度目の防衛戦に臨んだ。

 アウェイとはいっても、対戦相手の孫は世界での実績も乏しく、試合は昨年12月以来、11カ月ぶり。ランキングははるかに下位の14位で、とても、世界に挑戦するような選手ではなく、興毅の楽勝が予想されていた。

 ところが、試合が始まってみると、前に前に出てくる孫の手数に興毅は手を焼き、10回にはスリップ気味とはいえ、ダウンを喫した。ついぞ、興毅は自分のペースには持ち込めず、微妙な判定となった。

 判定結果は115-112、114.5-114、113.5-115.5と2-1の僅差で、興毅の勝利となったが、孫の勝ちが宣せられても、おかしくない試合内容だった。

 この試合はTBSが午後10時から生中継したが、放送が予定されていた10時54分までに決着は付かず、延長されたものの、ジャッジペーパーの集計に時間がかかり、判定結果を待つ11時9分に放送は無情にも打ち切られてしまった。約2分間、CMが流れた後、「NEWS23」が始まった時点で、すでに判定結果は出ており、番組冒頭で「興毅の判定勝ち」を伝えたが、なんとも後味が悪かった。

 この件について、同局関係者は「放送終了は予定通り。本来なら勝者が決まってから放送を終える予定だったが、ジャッジペーパーの集計が遅れたため、時間内にすべてを放送できなかった」としており、悪びれた様子はなし。

 そもそも、12ラウンド制の世界戦で放送枠が54分しかないこと自体が問題。選手入場から放送を始めたら、この枠では長い試合になれば、当然収まらない。

 プロ野球の日本シリーズやCS(クライマックスシリーズ)などの重要な試合や、サッカーの国際試合で、試合時間が延びたからといって、途中で放送を打ち切ろうものなら、視聴者から何を言われるか分からない。「ボクシングだから、いいや」という考えなら、視聴者軽視とも取られかねない大失態だ。

 この試合の視聴率(数字は以下、すべて関東地区)は10.8%だった。興毅がバンタム級に転向してからの視聴率は、王座決定戦(10年12月26日)=13.8%、V1戦(11年5月7日)=13.9%、V2戦(同8月31日)=16.7%、V3戦(同12月7日=セミファイナル)=10.2%、V4戦(12年4月4日)=14.6%、V5戦(同12月4日)=20.5%、V6戦(13年4月7日)=11.2%、V7戦(同7月23日)=11.8%で、V8戦はここ3戦で最低だった。

 興毅戦の視聴率がドンドン落ちていくなかで、判定結果待ちの間で放送を打ち切るようなことをしていては、今後さらに視聴率を下げる要因にもなりかねないだろう。

 薄氷の防衛とはいえ、興毅は渡辺二郎、西岡利晃(2度)、三浦隆司に次いで、海外での防衛に成功した4人目(5度目)の日本人世界王者となった。韓国での防衛は85年12月の渡辺以来、2人目という“箔”もつけた。

 20日の一夜明け会見で、興毅は「最低でも勝ちにつなげられたことだけがプラス。まだ俺には運がある」とコメント。今後については、「まだ何も決めていない」と白紙を強調。WBA同級スーパー王者のアンセルモ・モレノ(パナマ)との統一戦に進むのか、あるいはスーパーフライ級に転級するのか…。パッとしない試合内容が続いている興毅だけに、いずれにせよ、次戦で名誉挽回するしかないだろう。
(落合一郎)