MacやiPadになれなかったSurfaceのどこがイケてて、どこがダメなのか

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マイクロソフトのWindowsタブレット「Surface(サーフェス)」シリーズは、ユーザーが利用シーンに合わせて画面タッチ操作ができるタブレットと、キーボードなどが使えるライトなデスクトップPCスタイルが選べる先進的なデザインと機能を搭載していますが、ユーザーや市場での評価・普及は決して順調とは言えません。

実際にSurfaceシリーズを利用したユーザーからは良い評価も多いのですが、市場全体での盛り上がりには欠けている印象です。理由は、最新OS Windows 8がWindows 3.1の登場からWindows 7まで21年に及び受け継がれてきたWindowsという操作性やデザイン、UIを大きく変えたことで、個人・法人ユーザーの受け入れと環境の移行に抵抗があるためでしょう。

Windowsシステムはこれまで、肥大化したシステムや操作性など、利用者からの不満が多くありましたが、いざ、システムが大きく変わると慣れ親しんだ使い勝手の変更に対する抵抗は大きく、マイクロソフトの予想を上回ったということでしょう。このことで、20年を超える期間に世界標準として使われてきたWindowsの重さを改めて知らされたとも言えます。

では、新しいデザインと操作性を提案するWindows 8を搭載したSurfaceシリーズは、実際、どこがだめで、どこがよいのでしょうか。

■2つのSurfaceが混乱を招いた理由
Surfaceシリーズには、OSに「Windows RT」を搭載したSurface/Surface 2と、「Windows 8.1」を搭載したSurface Pro/Surface Pro2があります。この2つは、名前こそSurfaceですが中身は異なる製品です。

例えばアップル製品にあてはめてみると、Surface/Surface 2はiPadシリーズに相当します。Surface Pro/Surface Pro2は、Macbook Airに相当すると考えてみると分かりやすいでしょう。

アップルのiPadとMacbookでは、OSとハードウエア仕様が異なり、当然対応するアプリ(ソフトウエア)も異なるために互換性はありません。同じように、SurfaceとSurface Pro では、OSとハードウエアが違いますのでアプリには互換性がなく、使えるアプリは異なります。

しかし、画面デザインや操作性がほぼ統一されていることで、ユーザー理解や販売展開など誤解と混乱が発生したというわけです。特に「Windows RT」を搭載したSurface/Surface 2は、iPadシリーズやAndroidタブレットほど専用のアプリ追加が果たせなかったこともスタートで躓いた要因ともなっています。

では、Surface/Surface 2、Surface Pro/Surface Pro2の長所と短所を改めてみてみましょう。

■Surfaceはどこがよくて、どこがだめなのか?
Surface/Surface 2は、iPadやAndroidタブレット同様に基本は「タブレット」端末です。HDDなどの物理的な稼働部品がない製品です。その分、消費電力が小さく、長時間の使用が可能で動作安定性も高く、軽量な本体を無理なく持ち運びできるのが特徴です。

またサスペンドからの起動が早く、完全な電源オフからの起動時間においてもAndroidタブレットなどよりも高速な点も大きな特徴です。

Windows RTは、安定性も大きな特徴となっており、システムアップデート時などは別として、通常使用では定期的な再起動や強制終了が発生することもなく、iPadシリーズやAndroidタブレット同様に連続利用が可能となっています。

○メリット
・バッテリーでの長時間稼働
・高速な起動と終了
・再起動がほとんど必要ない安定性
・マイクロソフトOffice対応
・自立スタンド搭載
・端末価格が安い
現在のWindows RTは、ネット利用やOffice利用などライトなビジネス利用での必要条件は満たしてはいます。

○デメリット
・Windowsアプリと互換がない
・対応アプリが少ない
一般のユーザーが日常生活で利用するには、対応アプリ数がやはり不十分です。先行するiOSやAndroidと共通の人気アプリなどの移植がされていないことも大きなデメリットとなっています。

○文書作成やネット利用などのライトビジネスには有効
Surface/Surface 2は、専用アプリが少ないこともあり、IE(Internet Explorer)やOfficeなどの標準アプリやクラウド系アプリを中心に、モバイルなビジネス利用には活用できそうです。反面、エンターテインメントやホビーなど趣味・嗜好での利用には弱いと言えます。


■Surface Proはどこがよくて、どこがだめなのか?
Surface Pro/Surface Pro2は、インテルCPUを搭載するタブレットPCです。基本はノートPCのタブレットスタイルになります。タブレットと同じように画面タッチで使えるだけでなく、キーボード入力、タッチパッド操作など、パソコン同様の多様な操作と周辺機器が利用できます。

タブレットやライトデスクトップスタイルでノートPCのように利用できるなど、あらゆるシーンに対応できる特徴は、もっとも実用性の高いタブレットシステムともいえます。また、パソコンとしては完全な電源オフからでも十数秒程度で起動・終了できるなど、Windows 7以前の起動を待つといった時間がなく、効率良く素早く作業ができる点もビジネスシーンでは利便性の高い点です。

○メリット
・高速な起動と終了
・再起動がほとんど必要ない
・Windowsすべてのアプリ、機能、周辺機器が利用可能
・画面タッチ操作が可能
・タブレット、ライトPCモードで利用が可能(キーボードカバー装着)
・タブレット本体で自立可能
Windowsパソコンの拡張性をもつことで、これまでのWindowsアプリ、周辺機器の資産をタブレットサイズで利用できるのが最大のメリットといえます。

○デメリット
・本体がまだ重い
・価格が高い
基本はノートPCであるため、重量がタブレットと比べると若干重く、価格もモバイルPC相当とやや高い点がネックとなっています。

○モバイル性とWindows資産活用をどう両立していくのか
Windows アプリや周辺機器が利用でき、マシンパワーもあるのでビジネスなどのワークはテキパキ処理ができる反面、ポートの少なさから拡張性には制限があり、Windowsの資産をどういかしていくかが今後の課題です。


■Surfaceはやっぱり仕事向きのWindowsか? 
Surfaceシリーズは、タブレットとライトPCスタイルが1台で実現できるカジュアルな製品なのですが、長所と短所をみていくと、やはり長所はビジネスや仕事などでの利便性が優れていることで、短所は遊びや娯楽などライフスタイルでの活用や親和性が低い点といえそうです。

見た目はカジュアルなSurfaceですが、アップルのMacBook AirやiPad Airのように生活の中での遊び心を提供するまでに至ってはいない印象です。反面、ビジネスや仕事的な作業では効率もよく快適な環境を提供しています。どちらかといえばビジネスや実用面を明確に押し出したほうがSurfaceの特徴をユーザーに伝えやすいのかもしれません。