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岡山県のローカル食として人気を誇る「えびめし」。単純にエビの入ったピラフなのだが、ソースで炒めた真っ黒な見た目には強烈なインパクトがある。このメニューの生みの親と言われているのは、県内の洋食店「いんでいら」。しかし今、実はこのえびめしは渋谷生まれだという疑惑が浮上している……。

○始まりはのれんわけ、でもなぜ味が違う?

「確かに、えびめしの元祖は東京なんです」。笑顔であっさり認めてくれたのは、いんでいら営業部長の小郷(おごう)晋吾さん。小郷さんによると、岡山の「いんでいら」の元祖は、東京は渋谷に店を構えるカレーハウス「いんでいら」だという。

「えびめし」は、渋谷の「いんでいら」が昭和30年(1955)に創業した当時からのオリジナルメニュー。初代社長の出井達海さんが故郷の岡山に帰り、のれん分けの形で岡山に「いんでいら」を開店(昭和41年・1966)。破竹の勢いで、地元岡山において「えびめし」が大ヒットしたのだという。しかしなぜ岡山でウケたのか?

郷さんはここでも意外な事実を教えてくれた。「東京出張の時に何度も東京のえびめしを食べたことがあります。実は、味が全然違うんですよ」。小郷さんによれば、岡山の人はインパクトのある、少し甘めの味つけが好みなんだそう。

確かに、他の岡山名物を見回しても「デミカツ丼」にしろ、「津山ホルモン」にしろ、まさにご指摘通りの味わいだ。えびめしも「東京の味をリスペクトしつつ少しずつ時間をかけて、岡山の味に変えていったんです」。ローカライズされたその味のヒミツこそ、社外秘の「えびめしソース」だ。

○他に類のない味、そして以外にマイルド

ソースはソースでもいわゆるウスターソースやとんかつソースとは別のモノといい、「味は例えようがないんです。一度、お召し上がりになってくださいとしか言えません」と小郷さんは苦笑する。「えびめし」はリーズナブルな600円。実際にこの目で見てみると、やっぱり黒さのインパクト絶大だ。

しかし意外なことに、これが全く重くない。マイルドでどこか懐かしい味わい。ソースが岡山産の米に絡み、米の甘い味わいと融合して口になじむ。そこにプリプリのエビの風味が重なる。ちなみに、生マッシュルームを使うのは岡山オリジナル。キノコの上品なうまみが、味に深みを出している。ほんのり甘い錦糸卵の存在感もナイスだ。

東京渋谷にて誕生し、岡山で深く拡散した「えびめし」。いまや岡山のいろんな店で食べられるほどのご当地ソウルフードになった。

「えびめしといえば、岡山ではお年寄りから子供さんまで誰でも知っています。岡山にお立ち寄りの際は、お召し上がりになってくださいね」と小郷さん。ちなみにこのえびめし、「いんでいら」系列店の、その名も「えびめしや」で全国発送まで行っている。1セット4人前で2,800円(送料500円)で販売されているから、B級グルメ好きな全国の皆さんに是非味わってみてほしい。

●information
「いんでいら」天満屋地下店
岡山市北区表町2-1-14 天満屋バスターミナル地下

○「ずっと変わらずに味を守っていますよ」

さて、他の店舗も駆け足で巡ってみよう。倉敷市にある「うなりや」のえびめしは、すり下ろしたゆで卵がトッピングされ、コールスロー付きなのが特徴だ。卵独特の甘さとコールスローの酸味がえびめしのコクに調和して、最後までおいしくいただける。「この味は昔からずっと変わらないよ」というのは店主の山本さん。この店のえびめしはコールスロー付きで650円だ。

●information
うなりや
岡山県倉敷市玉島阿賀崎1-11-30

また、笠岡市に店を構える「道草」は、ご主人が冒頭の「いんでいら」で修行して独立した店だという。「道草」のえびめしのポイントは、そっと添えてあるオイルキャベツ。程よい酸味がえびめしのコクを更に引き立てている。単品なら480円とかなりリーズナブルで、トンカツやクリームコロッケ、焼肉などをトッピングしたセットも730円でいただける。

「道草」のおかみさんである佐々木政子さんもまた、「うなりや」の店主と同じく「ずっと変わらずに味を守っていますよ」という。

●information
道草
岡山県笠岡市笠岡5891-2

そう。岡山県におけるえびめしは、店舗やオーナーによって種種様々に変化していく他の多くのB級グルメとは大きく異なり、「昔から変わらずに味を守る」というコンセプトで統一されたソウルフードなのである。

(OFFICE-SANGA)