JAL(日本航空)から、新しいクレジットカードが登場した。『JAL CLUB EST(エスト)』というシリーズである。20歳以上30歳未満を対象とした20代限定のカードだが、付帯するサービスの内容に特徴があるカードなので、紹介してみたい。

 まず、国内の空港にある『サクララウンジ』を無料で利用できる。サクララウンジというのは、国内外の空港にある、JALが運営するラウンジである。基本的には、JMB(JALマイレージバンク)の「サファイア」会員しか利用できないが、「CLUB EST」カードを持っていれば、年3回までだが、無料で利用できる。サクララウンジには、お茶やコーヒーだけでなく、ビール他のアルコールが用意されている。さらに、空港によっては軽食なども置いてあるため、お得度は非常に高い。同伴者も1名まで利用可能なので、同伴者がいれば1回の利用で2~3000円は確実にお得できると思われる。

 そして、JALの国内線に設置されている『クラスJ』という座席が、利用できるクーポンが付いてくる。「クラスJ」は、前後のシートピッチ、幅とも、普通席よりも少しずつ広くなっている(シートピッチで18センチ)。ソフトドリンクもサービスされ、通常、利用するには1000円の料金が必要だ。その無料で利用できるクーポンが、年間10区間分提供される。

 また、個人的にはこれがいちばん便利だと思うのだが、空港でのチェックインの時、JALビジネスクラス・チェックインカウンターが使えること。JALカードのプラチナやCLUB-Aゴールドカード、CLUB-Aカードを持っている人も使えるが、普通のカードであっても、「CLUB EST」の会員であれば使える。搭乗時刻ギリギリに空港に到着したときなどは、スムーズにチェックインできるので助かるだろう。

 上記の航空機の利用関連の特典以外は、マイル有効期間の延長や、JALカードショッピングマイル・プレミアムの自動付帯といったものがあるが、そうしたマイル関連の特典はそれほどの魅力がない。JALカードショッピングマイル・プレミアムは、買い物時にマイルが2倍貯まるというサービスだが、1マイル=1円とすると、2倍たまってもポイント還元率は1%にすぎない。今は、年会費無料のカードで、還元率1%のカードは珍しくはないからだ。

【松岡賢治のマネーtab】20代限定のJALカード『JAL CLUB EST』のお得度は?

 肝心の「CLUB EST」の年会費だが、カードのグレードごとに分かれている。

●普通カード/カード年会費2100円+CLUB EST年会費5250円=合計7350円

●CLUB-Aカード/カード年会費1万500円+CLUB EST年会費5250円=1万5750円

●CLUB-Aカードゴールド/カード年会費1万6800円+CLUB EST年会費2100円=1万8900円

●プラチナ/カード年会費3万2550円+CLUB EST年会費2100円=3万4640円

 CLUB-Aカードゴールドとプラチナの方が、CLUB EST年会費が安いのは、カードの年会費がそもそも高いからであろうか。また、一部の特典が重複しているという理由も考えられる。普通カードの場合、年会費は5250円だが、年に2回JALの国内線を利用するなら、十分に?元?がとれる。サクララウンジとクラスJが2回使えれば、コストパフォーマンスは高い。

 一方、飛行機にほとんど乗らない人であれば、あえて持つ理由はないだろう。20代だと、仕事の出張で国内を飛行機で移動する、という人も少ないはずだ。おそらく、CLUB ESTの特典は、30代以降にとってより魅力のある内容だと思われる。したがって、同種のサービスが付帯する30代以降向けのカードの発行が待たれるところだが、実際に発行される可能性は低いのではないか。既存のJALマイレージバンクの上級会員(例えば「サファイア」とか「ダイヤモンド」)の、プレミア度が薄れてしまうからだ。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。