楽天の三木谷浩史・社長兼会長が、今年になって保有株のうちおよそ3%分の約3600万株を売却した。ざっと100億円の売却益をあげた計算になる。三木谷氏は大手信託銀行と保有株3600万株分を売却するという「株式処分信託契約」を結び、信託銀行が独自の判断で2月から7月までに売却した。これはインサイダー取引規制に抵触しないための取引になる。

 通常、株式処分信託は、企業オーナーが相続税対策のために、個人所有の持ち株を資産管理会社に移す場合によく使われる。信託銀行が市場で売却すると同時に、管理会社が市場から買うことで、個人から管理会社に株の所有者を移転するわけである。しかし、48歳と若い三木谷氏が相続を考えたとは思いにくい。

 ある信託銀行の担当者はこう見る。

「三木谷氏の場合、資産管理会社分を含めた持ち株比率が3%近く下がっている。移転ではなく、益出しが目的でしょう。来年から株式譲渡益課税が10%から20%に引き上げられる。三木谷氏の信託契約では、株式売却の期限が年内の12月27日となっていることから見ると、増税前に株を売って益出ししておこうと考えたのではないでしょうか」

 売却益が100億円なら、増税前に売ったことで10億円の節税につながったことになる。

※週刊ポスト2013年11月29日号