アオイロチョーク』(日本文芸社)

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 たびたび脅迫状に悩まされ、コミケなどのイベントにも参加を見合わせたり、関連商品の販売が中止になるなどの憂き目に遭っている人気少年マンガ『黒子のバスケ』(集英社/以下、『黒バス』)。脅迫状問題はとどまるところを知らず、同人誌や関連イベントだけでなく、今やTSUTAYAや有隣堂といった一般の書店にも影響を及ぼしている。

 『黒バス』といえば、主人公の黒子と火神が"キセキの世代"と呼ばれるライバルたちを倒して、日本一を目指していくという王道のバスケマンガだが、腐女子からの人気が高いことで知られている。そこで、現状に心を傷めているであろう『黒バス』好き腐女子のみなさんにオススメしたいのが、『アオイロチョーク』(日本文芸社)『みづいろとぴんく、それからだいだい。』(心交社)『獣の愛し方』(芳文社)といったバスケBLだ。『獣の愛し方』は高校の弱小バスケ部にやってきたスーパールーキーの甘酸っぱい恋を、『みづいろとぴんく、それからだいだい。』では寡黙な後輩と優しい先輩の不器用な恋を描いている。そして10月28日に発売されたばかりの『アオイロチョーク』では、同じバスケ部のライバルで親友でもある2人が、クラスメイトの男の子をめぐって恋のバトルが繰り広げられる。各作品のあらすじを追いながら、『黒バス』との共通点を見ていこう。

 まず、『獣の愛し方』に登場する主人公・濱田は、ただ背が高いというだけで、目についた新入生の熊井をバスケ部に勧誘する。しかし、実は熊井は全国優勝したバレー部の正セッターで、陸上でも全国記録を持つほどのすごいやつだったのだ!そのため、濱田はほかの運動部からいわれのないバッシングや嫌がらせを受けるハメになり、さらに、自分のレギュラーの座まで熊井に奪われたことから、バスケ部を辞めてしまう。そんな濱田に対して、熊井は「俺は濱田先輩が好きだからバスケ部に入ったんです」と告白をする。熊井は、濱田のいない部活で腑抜けたようになり、練習中もボーッとしていて使い物にならなくなってしまったのだ。濱田がほかのバスケ部員に頼まれてしぶしぶ説得に行くと「濱田先輩が戻って来てくれるなら頑張れると思います」と満面の笑みで言う熊井。さらに、試合に勝った後は濱田の制止も聞かずに襲いかかってきたりする。ただし、濱田に「でもじゃねぇ!嫌うぞ!」と叱責されると、熊井は固まって真っ青になってしまう。「まるで猛獣使いになったようだ」と濱田は笑うが、"猛獣"と言うなら『黒子のバスケ』の火神も同じようなもの。先輩に誘われてバスケを始めるところなんかも、アメリカのジュニアスクール時代に友だちができなかった火神と、彼をバスケに誘ったひとつ上のライバル・氷室との関係に似ているかも。

『みづいろとぴんく、それからだいだい。』は、3年生ばかりのレギュラーに入ったただひとりの1年生・百成が主人公だ。こういう出る杭にはありがちな話だが、百成も先輩たちから嫌がらせを受け、自分に対する陰口も聞いてしまう。しかし、そこで「だけどあいつ ちゃんと上手じゃないか...!みんなが帰った後も...残って練習してるんだぞ!この中にそんな奴居るかよ!?」と、自分をかばう声を聞く。その声の主は、先輩の瑞木だった。そこから彼のことが気になりだす百成。そして、「俺も一緒にいい...?」と声をかけて一緒に練習してくれた瑞木を好きになるのだった。でも、百成は無口で口下手だから、初めてまともに交わす会話で「俺たち付き合えばいいと思う」なんて言ってしまったり......。そんな口下手で努力家の百成を『黒バス』の黒子とするなら、その努力も知っていて認めてくれる瑞木は、黒子のチームメイトで頼れる存在である木吉のような存在かもしれない。

 そして『アオイロチョーク』には、2人そろってスポーツ推薦で同じ高校に行くほど仲良しで、互いに認めあったライバルである宮武と西條が登場する。宮武に半ば強引に引っ張られるかたちで、中学からバスケをはじめた西條だが、持ち前の器用さからめきめきと上達していった。しかし、高校で出会ったちっちゃくてかわいらしいクラスメイトの小森によって、2人の関係は微妙に変化していく。3人が良いと言いながら宮武のことばかり気にする小森を見て、イライラする西條。逆に小森に2人きりでバスケを教えている西條を妬む宮武。互いに嫉妬する彼ら。そして、西條だけが選抜選手に選ばれたことで、両者の関係には大きな溝ができる。でも、そうなって初めて彼らは、自分の本当の気持ちに気づくのだ。最終的には、宮武が小森に告白をする。『黒バス』でいえば、小動物系の小森を黒子だとすると、彼をめぐって争う宮武と西條は、黒子に執着するかつてのチームメイト・青峰と黄瀬といったところか。ちなみに、西條は後に2年の副キャプテンである中谷に心惹かれていくことになるのだが、中谷を黄瀬が所属する海常のキャプテン・笠松だと考えればしっくりくる?

『黒バス』好き腐女子のためのバスケBLガイド、いかがだったろうか? これで萌え成分を補給し、苦境にさらされる『黒バス』をこれからもしっかり応援してもらいたい。
(文/山田ナツメグ)

■『獣の愛し方』
著者:オオヒラヨウ
出版社:芳文社
価格:630円

■『みづいろとぴんく、それからだいだい。』
著者:小椋ムク
出版社:心交社
価格:650円

■『アオイロチョーク』
著者:高昌ゆり
出版社:日本文芸社
価格:650円