マコ、頑張る!頑張った結果、二つ星に……えっ? この学校の仕組みが一気にわかった『キルラキル』7話。見どころはマコ。ポイントはマコ。見逃せないのはマコです。

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中島かずき「マコファンはとりあえず7話を見てください!」
あの1話でむしろ薄いんです「キルラキル」シリーズ構成・脚本の中島かずきに聞く1(エキサイトレビュー)

ついに来ました。全日本マコが好きでしょうがない隊の隊員としては、待ちに待った『キルラキル』7話。
見ました。やっぱりマコはマコでしたね。

一般的には「ギャグ回」に入るであろう7話。
しかし、『キルラキル』はギャグ回とかストーリー回とかの境界線はありません。
全部が伏線。むしろ、普段より情報量が多い回です。

●マコという子
今まで出てきた発言からマコがどんなキャラなのか、おさらいしておきます。

・友達ができなかった
マコ本人が「友達がいなかった」と言っています。
あんなに好かれそうなのにね?
実はこの設定が働いての7話。もしマコに他の子との友情があったら、流子と喧嘩部を作る展開にならない。
ほんとのところ、流子と家族にしか心を開く相手がいない。だからこその7話だと考えると、あのでかい、ジブリ級のゲル状涙も、笑えないものになります。
流子のムチャぶりだって、キレてしかるべきなのに、家族のことを考え、引き受けちゃうマコの心中を考えながら、後半のバトルを見て欲しいのです。

・「こういう子だから」
1話から「満艦飾はこういう子だから」と先生に言われるマコ。ものすごく意味が深い「こういう」です。
1話では「なんかズレた子」くらいの認識。
7話でこの学校が、完全下克上制なのが明らかになりました。
そう考えると、4話ラストで普通に教室に入っていた生徒たちは、実は「ダメな奴らを蹴り落としてのし上がった強者」なわけです。怖いよ。
そうだとすると「友達ができなかった」というのも納得です。
確かに甲組、クラス内に友人関係が見られません。部活の連中は統制がとれているだけで、仲良しとはいえない。ところがマコは「学校に行きたい・友達が欲しい」が一番の目的です。
確かに、成り上がってお金持ちになるのは、人並みには嬉しい。しかし最終目標は、家族と仲良く暮らし、流子と一緒に学校に行きたい。それだけです。
誰かと仲良くなりたい。
この世界においての異端児としての「こういう子だから」の意味に変わってきています。

・実は有能
「本来持っている能力を増幅させる」のが極制服の力です。戦闘特化の強化装甲ではありません。
喧嘩部二つ星極制服着たマコ、異常に強いんですよ。
流子が言うところの「本来の力」で戦ったら、ボクシング部なんて話にならないですよアレ。ドラゴンボールの世界。蟇郡まで吹っ飛ぶ。
ということは、マコは本来戦闘力が高いということです。
今までもテニス部などに相当ボコボコにされ、それを苦にしないタフネスを持っていたマコ。
ギャグだと思ってたんですが、あれはガチで強かったんですね……なんでテニス部にいたんだか。
加えて部長の激務をこなすだけの能力がある。実は頭もいい。有能です。
今回の一件で、マコが極制服あるいは神衣に類するものを着た場合、戦力になるのが判明しました。
そういえば5話で、紬が倒した一般部員の中に、紬が持っていないはずのデッキブラシで倒されている百人一首部がいたんですが、それはブラシを持っていたマコが強かったフラグ?
喧嘩部極制服のギミックが、ノギスや釘抜き、ペンチ、ハンマー、レンチと大工道具なのは意味があるのか気になります。釘バットが、釘の尖った部分ではなく、頭の部分になっているあたりが、彼女の良心の現れなのかも。マコミサイルにマコの顔があるのもいい。イメージの具現化だとしたら、闇医者のとーちゃん、工具で人を治してるのか?

・服に着られるマコ
今回は、総作画監督のすしおが満艦飾マコが好きすぎて、すしお自ら作画監督を引き受けているマコ愛回です。
ということで、マコのコスプレ大会みたいになっています。
個人的に一番好きなのは番長マコです。何見て育ったんだ。
絵的にほとんどのコスチュームが、マコにあっていないのがこだわりの部分だと思います。あの服に着られている感たるや。
秘書衣装のあわなさっぷりも見事。ザマスメガネも伊達でしょうあれ。
満艦飾家も、昇格するに従って服が如実にド派手になる。笑うところではあります。
けど最後、自分たちがシステムに飲み込まれていることを理解し、家族と流子が一緒にいることを選んだ時、全部脱ぎ捨てるのは、非常に重要なカット。
というのも、5話で出てきた紬が「服を脱げ」と強く流子に言っていたのとつながるからです。
人は服を着ることによって、自らがどうあるべきか、「着られて」しまう。
自らの原点に戻るため、満艦飾家は全員服を脱いだ。
これは、反制服組織「ヌーディストビーチ」の思想と近いです。

マコが全裸にならなかったのは、スタッフの愛だと思いました。
あと、マコが試された時、欲に転んでしまった部分もあったのも愛だと思いました。
だよね、人間だもの。お金ほしいよ。安心しました。聖人君子ではない、マコはマコです。

●明確化した星システム
今までよくわからなかった成り上がりシステム。
流子とマコの喧嘩部ドタバタによって、その全貌が見えました。

1・部を作ります。
6話の皐月様と猿投山の回想シーンを見ると、能力のある人間は一本釣りのようです。
それ以外は「部に所属する」「部長になる」のどちらかでなければ、無印から昇格できません。
今回、流子が思いつきで「喧嘩部」を作り、思いつきでマコを部長にしました。皐月様がOKといえば、誰がなんと言おうとOK。
現段階では、皐月様はほとんどの場合OKを出しているようです。

2・実績を出します。
ある程度実績があれば一つ星に昇格。
部長になり、きっちりした実力を認めれば「二つ星極制服に値する生徒」として、専用極制服が与えられます。
注意したいのは部長になったら即二つ星極制服を与えられるわけではないということ。
2話のテニス部部長も、実績の持ち主なのにもかかわらず、最初から着ていたわけではありません。途中で皐月様から直接与えられました。
そのため、「部長である」「実績を認められている」の二点がそろった時点で、まずは二つ星の居住区に移動。まだ極制服は与えられない。
皐月様が認可した時にはじめて、二つ星極制服を与えられます。
今は、特に「流子を倒せば三つ星になれる」ルールがあるので、部長は必死です。
簡単に見えますが、この成り上がりシステムの社会において「部長」として部員がついてくるだけの状況を作るのが最も難しいことです。

3・実績のあげ方
二つ星の部長の実績はどこで決まるか。
今までは遠征試合という侵略活動がメインでした。現時点で日本のほとんどが制覇済みです。
ではどうすればいいか。学内で争うしか無い。
一つは流子を倒すこと。一気に三つ星になれるので、これが一番近道です。
もう一つが、部活同士で潰し合うことなのが、今回明らかになりました。体育館とグランドは血の海です。
蟲毒システムです。

4・皐月様に許可されます。
皐月様に許可されれば、OKです。生活と学校での地位は保証されます。皐月様は割となんでもOKします。
これは、この学校が超実力主義だから、というのに加えて敗者には居場所がないというルールもあるため。
流子は「ったく、やらしいシステムだなー」と言いますが、実は道理にかなったシステム。
頑張れば上に登れるし、以前の猿投山のように慢心すれば地に落ちる。欲にかられて突き進むもいいけど、やられればそれまでで見捨てられる。
皐月様の思惑が、見えてきます。

●皐月様が見ているもの
実力に応じて上り詰める仕組みを、30分で見ることが出来た今回。
「一つ星維持できたら生活いいよね?」というのが割りと露骨に出ています。
二つ星の金持ち生活(又郎の「闇医者がどんな医師会だよ」の台詞から、別に働かなくてもお金もらえる様子)はちょっと浮き沈みが激しすぎる。
ある程度努力して、この学校のシステムに乗っかって一つ星になっていれば、いわゆる文化的生活は維持できる。
もう一つ星でいいじゃん?

だから、この作品は一つ星の生徒数が多い。付かず離れず、部活に所属して一つ星であり続ければ、一番安泰じゃないか?
だがそれは、鬼龍院家のシステムに飲まれているということでもあります。

皐月様がなぜ下克上を許しているのか。なぜ部長(二つ星)の粗製乱造を煽っているのか。
なぜマコと流子を戦わせたのか。
8話以降明らかになっていくようですが、現時点でわかるのは2点。
・秩序の中で服に「着られる」人間を炙りだしている
・流子のような歯向かう人間を泳がせることで、秩序の再構築をしている
布の中で脆弱な糸があれば、そこからほつれます。先に一度バラバラにしてしまい、再度組み直して強固な一枚布を作ろうという考え方。
5話の猿投山がまさにその再構築の一部でした。慢心する人間は即切り捨てる。これが鬼龍院流。
合理的で秩序立っています。もっとも、マコと流子の和解を観ていい笑いをしたように、もっと深いもの……流子を育てるとかの考えがある様子ですが、今はわかりません。

流子やマコの人情論は熱いし、感情移入しやすいです。。
でも、皐月様の考え方も、ある意味正しいんです。時々流子より正論。流子は暴論が多い。
部長の粗製乱造とは言うものの、部長をやり続けることがいかに大変か今回わかりました。すごいよあの書類の量と毎日のミーティング。みんな頑張ってる。
学校自体は大変カオスに見えますが、システムの中にあって、さらに信念さえ保てればよい。メガテンのロウ的思想です。
決して、貧乏が美徳、金持ちが悪徳、というアニメではない。
三つ星の連中がなぜあんなに立派なのか、注目しておきたい。大事なのはお金と力ではなく信念です。

もっとも、信念を持てず、システムに飲み込まれているから酷い有様なのであって。
それをこれから一から作り直す「壊散総戦挙(「さん」と「そう」は見えませんでした)」を行うことになる。
二つ星が粗製乱造だったのも、猿投山が一度負けたのも、全て皐月様はお見通し。手のひらの上です。

これから先しばらくは、二つの考え方がどのくらいの信念なのかを描くことになるのではないでしょうか。
ひとつは「皐月様及び鬼龍院家のシステムに沿った信念」。支配による秩序こそが正義だという考え方。
もう一つは「「ヌーディストビーチ」の支配されない信念」。人は素のままであるべきという考え方。
この二つがはっきりしていけば、流子の信念ももう少しはっきり浮かんでくるはず。
なんせ今まで、流子何も考えてなかったからね!
7話でようやく、流子が求めている「生き方」像が見えました。

にしても、数えきれないくらい部長が戦維喪失しました。OPに出てくるやつら一瞬だったじゃねえか!
折り紙部がデブなのに制服着たら痩せるのが好きです。
もう部長程度じゃだわ。話にならない。

ひとつ言えるのはマコはかわいいという確固たる事実です。
流子もマコがいないといけないし、スタッフ(特にすしおさん)にもマコがいないといけないし、視聴者にもマコがいないといけない。
マコがいるから、このアニメ、安心して見ていられます。

『キルラキル』BD 1巻

(たまごまご)