メイドさんのいる落ち着いた雰囲気の中で、印刷機に詳しくなれる秋。

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 都会の喧噪から逃れてメイド喫茶で、ほっと一息しながら同人誌の魅力を体感できる。秋葉原のメイド喫茶......いや、正確には「私設図書館」である「シャッツキステ」で、そんなイベントが開催中だ。イベントのタイトルは「同人誌を作る!〜こだわりの特殊装丁とオフセット印刷〜」。

 さまざまなイベントやトークを開催することでも知られる同店で、"同人誌"をテーマにしたイベントは、今年6月の「はじめてのコピー本とオンデマンド印刷」に次いで2回目になる。今回のイベントを企画した同店のメイド・ミソノさんは、同人誌をテーマにした理由を次のように話す。

「きっかけは、メイドたちの間......というか、私が同人誌について、もっと深く知りたいなと思ったことです。私も以前から同人誌即売会にサークル参加しているんですけれど、入稿してからどうやって本になっていくかは、詳しく知らなかったんです。それで、メイドたちからのバックアップもあって、もっと知りたい、それだけではなくて、知って一緒に楽しみたい、あわよくば知らない人にも、同人誌の魅力を伝えたいとイベントを企画したんです」(ミソノさん)

 こうして開催されたのが先の6月のイベントなのだが、それでもミソノさんの興味は尽きなかった。オンデマンド印刷も魅力的だけど、やはり同人誌といえばオフセット印刷。それは、どのようにして出来上がっていくのか? それを自身も知り、みんなにも知ってもらうべく、彼女がアタックしたのが、同人誌印刷の老舗・緑陽社である。

 同人誌を作ったことのある人なら誰もが知っている同社は、技術力を生かして、さまざまな特殊印刷の相談も受けてくれる会社だ。また、社長自らコミケにサークル参加していることもあるという魅力的な企業である。

 そんな会社だけに、突然の連絡にも大歓迎。かくて、展示物の貸し出しだけでなく、同社の工場をメイドさんが案内するという、パネル展示のための撮影も行われた。メイドさんが、印刷機械と共に写っている構図は、それだけで見る価値あり!

 そんなパネル展示をはじめとして、店内には箔押し用の型から、製版に使われるCTP版までが展示されている。CTP版とは、印刷にあたって版を焼き付けるアルミの板。これを、印刷機の円柱の胴体に巻き付けて、インクを塗って印刷していくというのが、オフセット印刷機の基本的な仕組み。でも、通常は工場の外に持ち出す必要もないので、同人誌印刷所に直接原稿を持ち込んだことのある人でも、まず見たことはないものだ。そうした、数々の印刷機材の展示が、"工場萌え"な心をくすぐってくれる。

 そして、店内にはそうした工程を経て出来上がった同人誌。フィルムに印刷した特殊印刷の同人誌から、飛び出す絵本の形式になった同人誌までを自由に読むことができる。同人誌といえば「薄い本」という俗称があるように、基本はB5など定型の簡素な製本のものをイメージするだろう。しかし、ここに展示されている同人誌を見れば、そのイメージは一変する。「同人誌とは、自分の表現したいものを理想の形で本にしたもの」と誰もが知るはずだ。なにより、そうした個人の表現の欲求を見事にかなえてくれる同人誌印刷所の技術力には驚くばかりである。

 紅茶を楽しみながら、ゆったりと同人誌の魅力を楽しめる、このイベント。期間中は、リフレッシュの効果を狙ってブレンドされたハーブティー「まだ間に合うかもしれない」も提供。さらに、同人誌の魅力を解説した美麗なパンフレットも無料配布している。こちらは、数に限りがあり、なくなり次第終了なのでお早めに。

 なんだか、展示を見ているうちに「同人誌を作ってみたい!」という気になってしまうのは、店の雰囲気と紅茶の魔力か?
(取材・文/昼間 たかし)

■「同人誌を作る!〜こだわりの 特殊装丁とオフセット印刷〜」
日時:開催中〜11月30日まで
会場:秋葉原カルチャーカフェ 私設図書館シャッツキステ
料金:30分/500円 
 紅茶(セイロンティー)をご自由にお飲み頂けます。
時間: 12:00〜22:00(ラストオーダー:21:30)
期間中の休館日はございません。
※11月14日20:30〜21:30、21日20:00〜21:30は別催しのため混雑している可能性があります。

シャッツキステ公式サイト
http://schatz-kiste.net/

■期間中にトークイベントも開催予定
11/28(Thu)20:30〜21:30 メイド夜話部「同人誌作りと特殊装丁」
担当:印刷会社 緑陽社 武川優/ミソノ