育児に積極的に参加する男性が「イクメン」と呼ばれ、世間からも歓迎されているような印象があるが、本人の立場から考えても育児休業を取ることにはマイナスもある、と話すのは評論家の金美齢氏だ。

「かつて私が2人の子供を産んだとき、子育てでストレスが溜まるのを見て、東大の工学系博士課程に在籍していた夫が『僕も大学をやめて子育てに協力するよ』といったことがありました。でも、365日、実験に明け暮れる博士課程を半年も1年も中断していたら、果たして修了できたかどうか疑問です。

 育休をとらなかったからこそ博士課程を無事に修了できて、それ以降の家族4人の生活が安定したものになったんです。中断したらキャッチアップが難しいキャリアもあるのです。

 その経験を考えると、給付率が上がったのだから、積極的に利用すればいい、というのは単純すぎる議論です。むしろ保育園の充実などで、働きながら子育てできる環境作りをするべきではないでしょうか」

 実際、若い世代中にも育休を取得したことを後悔する人はいる。

「1人目のときは妻だけが1年間の育休を取りました。そのとき、妻から『もし2人目が欲しいならあなたも育休を取って、全面的に協力してもらわないと無理』とキツくいわれました。そのため、3年前に2人目ができたとき、私も3か月育休を取ったんです。

 男性の取得は初めてで好奇の目で見られただけでなく、人員が少ない中、休んだことで、同僚にかなり迷惑を掛けてしまいました。それ以来、出世街道から外れてやりがいのある仕事をできなくなったうえに“仕事より私生活を優先する奴”というのが定評になり、距離を置かれるようになってしまいました」(PR会社勤務の32歳)

※週刊ポスト2013年11月22日号