『新選組美男五人衆』(小学館)

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 新選組といえば、やはり思い浮かぶのは近藤勇や沖田総司、土方歳三といった有名どころ。しかし、実はそんな彼らよりももっと"萌える"と人気の人たちがいた。それが、"隊中美男5人衆"と呼ばれる男たちだ。

 作家・子母澤寛の書いた『新選組物語』や『新選組遺聞』によると、文久3年の5月や6月頃にそれぞれ壬生浪士として入隊した彼ら。メンバーは、土方について函館戦争まで戦ったといわれる山野八十八をはじめ、同期の馬越三郎。父親とともに入隊した馬詰柳太郎。彼の同期である佐々木愛次郎。実は長州の間者として入隊していた楠小十郎の5人。もともと新選組は根強い人気を誇っているが、これまで隊中美男5人衆を描いた作品はなかった。しかし、最近そんな隊中美男5人衆を主人公にしたマンガが続々登場しているのだ。それが、10月30日に発売された『壬生狼ヤングゼネレーション』(柏葉ヒロ/小学館)と『新選組美男五人衆』(かれん/同)。
 
 そこで、これらの作品から彼らの萌えどころを紹介してみよう。

 まず、『新選組美男五人衆』でリーダーとして登場する山野八十八は、天然タラシキャラとして描かれている。八木邸裏にある水茶屋の娘・あやは、長州派で壬生浪士嫌いだったのに、八十八のえくぼのできる笑顔と優しさに惹かれ、彼のことが好きになってしまう。さらに、女性だけでなく、同じ新選組美男5人衆の同期・馬越にもその天然タラシっぷりを発揮するのだ。

 例えば、芹沢派の平山五朗が馬越に目をつけ、「みんなの前で俺に負けたら、おまえ俺の念弟になれ」と男色の相手にしようとする。しかし、それを知った八十八は大稽古当日、「そのお相手、私が馬越に代わってお受けいたそう」「平山先生に馬越は渡しは致しませぬ」と啖呵を切るのだ。

 初めは八十八がリーダーなんて納得いかないとか、彼が平山に逆恨みされたことも自分には関係ないことのように言っていた馬越。しかし、いざ八十八が危ない目にあうと真っ先に刀を抜き、ときには都合がいいからと自ら念友アピールしてくることも。しかも、愛次郎も八十八のことを慕っており、初めて斬り合いをしたときには彼に向かって「初めて斬り合いしましてん 褒めたってください」と青い顔で無理して笑うのだ。

 また、弟キャラとして描かれる柳太郎は、敵が襲ってくるとびびって何もできなくなるどころか稽古ですら反撃できない。おまけにすぐ泣き、物音に驚いて漏らしてしまうことも。でも、ちっちゃくてかわいらしい彼はみんなにかわいがられ、特に楠とは助けてもらったことでより近しい仲になる。絵に描いたようなツンデレキャラの馬越と天然タラシキャラの八十八だけでなく、美男子同士の絡みまで楽しめるなんて腐女子なら見逃せない。

 一方、『壬生狼ヤングゼネレーション』で登場する"隊中美男5人衆"は、かなりヤンチャな若者たちとして描かれている。マゲは古いと言ってそれぞれが好きな髪形をし、整列する際も、誠のハチマキにかかる前髪を指先で整えたりしている彼ら。おまけに袴も腰履きで、見廻り当番を忘れてスイカを食べたり、川で涼んだり、夜中に屋根にのぼって将棋をしたり......とにかくもうやりたい放題なのだ。愛次郎に至っては「俺が大阪から出て来たんは、あぐりと出会うためだったんかもしれへんで」と言って、大好きな女と駆け落ちしてしまうほど。しかし、残っている資料によると、彼は永倉新八に「佐々木は古今の美男なり」と言わしめたほどの美男だったとか。

 また、馬越は町の女子に「ひゃーー!!馬越はん超かっこええ〜」と言わせるほどの美貌の持ち主だが、実は大食いチャレンジに成功するほどの食欲の持ち主。でも、子どもが絡まれていたら助けてあげる優しさも持ち合わせている。さらに、うさぎ形のかわいいアメを落っことして真っ青になるかわいらしさも。かっこよくてナルシストな部分と子どもっぽい部分と男らしい部分とかわいらしい部分。こんなに萌えどころ満載なキャラなんてなかなかいない。

 そして、同じくナルシストな柳太郎は、かんざしを手にとり「私これ買っちゃおうかな〜〜(はぁと)」という女性に「ふざけんなブス!!手を離せブス!!」と言って奪い取り、「おにいさんこれください(はぁと)」と自らお買い上げ。そのまま「ね、僕に超〜似合うでしょ〜」とご機嫌で帰っていく。そんな姿にも、キャーキャー騒ぐ女の子たち。でも、メガネを外すとさらにイケメンだったり、駆け落ちした同期の親友・愛次郎からの手紙を家の前で何日も待ち続けたりするかわいらしい一面も。

 デカイ図体に似合わず無類の猫好きである八十八は「ニャコタン何ちてるのォ〜〜〜〜?近所のコなのォ〜〜?ねぇねぇ〜(はぁと)」と声をかけ、毎回食堂のおばちゃんにねだって猫のエサをもらう。髪を切りに行って騒ぐほかのメンツに代わり「すみません。お騒がせしちゃって」と気遣いを見せる楠は1番しっかりしてそうだが、小柄で甘いマスクという見た目とは裏腹に、切腹の後処理をしながら「この後茶屋行かない?」と言い出す。しかし、鼻緒が切れて原田におんぶされたあげくチビ呼ばわりされたことにショックを受けて、ごはんをたくさん食べるように。......当時の新選組でもこんなやんちゃで気ままな若い隊士たちに手をやいていたのかもしれないと想像すると、かなり笑える。

 近藤勇や沖田総司、土方歳三といったメジャーどころではなく、若手でまだまだ謎の多い隊中美男5人衆のほうが、萌えどころも妄想も無限に広がるはず。もしかしたら、これからは彼らの時代がやってくるかもしれない。
(文/本名ありむ)