[其ノ四 注目商品 非課税投資対決編 NISA VS. DC(企業型)]税制優遇が大きいDCに軍配
いよいよ10 月から口座開設の申請手続きがスタートしたNISA。「非課税」をうたい文句にしているが、税制優遇ならもっと有利な制度がある。

「マッチング拠出」の税制の有利さは見逃せない!

各金融機関が口座開設キャンペーンを実施し、顧客を囲い込もうとしているNISA(少額投資非課税制度)。これは、NISAが非課税であるため1人1口座しか開設することができず、一度開設したら最低4年間は別の金融機関に変更できないからです。

通常の口座は、1人が複数の金融機関に開設してもOKですが、NISA口座ではNG。しかし、制約はあっても、年100万円までの投資については売却益や配当、分配金などが非課税というNISA口座のメリットをうまく生かしたい人も多いでしょう。

一方、現在は多くの会社で企業型のDC(DefinedContributionPlan=確定拠出年金制度)が導入されています。さまざまな税制優遇がある企業年金・退職金の仕組みで、1万7518社が実施し、約462万人(2013年7月末、厚生労働省調べ)が加入しています。

また、昨年1月からは、従来は会社だけが負担していた掛け金を、従業員も給与天引きで追加拠出(いわゆる「マッチング拠出」)できるようになりました。マッチング拠出の導入会社も増えています。

従業員にしてみれば、自分のお金を運用する際に、会社が導入しているDCのマッチング拠出を使ったらいいのか、来年から始まるNISAを使ったほうがいいのか、迷うかもしれません。「結論から言うと、DCのマッチング拠出を活用したほうが効率的に財産を形成することができます。なぜなら、マッチング拠出のほうが税制優遇の範囲が広いからです」というのはファイナンシャル・プランナーの中村宏さん。

?給与天引きで掛け金を拠出すると給与にかかる所得税、住民税、社会保険料を圧縮できる所得控除がある。?運用している間の運用益は非課税。?お金を受け取るときも税額が少なくなる所得控除(公的年金等控除、退職所得控除)がある――というわけです。

ところがNISAは、2014年から10年間、毎年100万円の投資資金(DCでいうと掛け金)で得られる運用益が最長5年間は非課税というだけです。投資資金を払うときや将来換金して受け取るときの税制優遇はないのです。

「NISA」 と「DC(企業型)」 の五番勝負

NISA
加入対象:20歳以上の国内居住者
投資額・拠出額:非課税限度額の年100万円以内で自由に設定
積立期間:投資可能期間(2014〜2023年)の中で利用者が設定
換金:随時可能
税金(購入・拠出時):所得控除なし
税金(運用時):非課税
税金(売却・給付時):譲渡益および非課税期間終了時の収益は非課税

DC(企業型)
加入対象:実施企業の従業員
投資額・拠出額:・厚生年金基金などの確定給付型年金を実施している場合は月額最高1万2750円(年間15万3000円)・厚生年金基金などの確定給付型年金を実施していない場合は月額最高2万5500円(年間30万6000円)
積立期間:原則60歳まで(2014年1月より上限65歳まで)
換金:原則60歳以上
税金(購入・拠出時):マッチング拠出の掛け金は全額所得控除
税金(運用時):非課税
税金(売却・給付時):所得控除あり

まずはDC、次にNISAを利用するのが正解

ただしNISAには、いつでも解約して必要に応じて換金することができる融通のよさがあります。したがって、5年以内に使うかもしれないお金を運用に回しても、いざとなったら換金して使うことができるのです。

しかし、DCの場合は、いったんDC口座に自分のお金を入れてしまったら、そのお金は原則60歳まで使えないのです。現役時代に車の購入資金や住宅取得時の頭金、子供の教育資金が必要になったからといって、都合よく換金することはできません。DCは、あくまで老後(60歳以降)の生活資金の準備に目的が限定されている仕組みなのです。

また、マッチング拠出には、企業ごとに自分の給与から天引きできる金額に制限が設けられています。NISAのように年100万円も自分のお金を拠出できるケースはありません(最高のケースでも月額2万5500円、年間30万6000円まで)。

「NISAとDCは目的別に使い分けることです。勤務先がマッチング拠出を導入している場合、まずは税制優遇が大きいマッチング拠出を老後まで据え置けるゆとりのお金で行ない、そのほかの資産運用が行なえるお金のうち5年程度据え置ける分をNISAで運用するのが正解でしょう」(中村さん)

というわけで、今回の対決は税制優遇が大きいDCに軍配!

【今月の対決立会人】
中村 宏(HIROSHI NAKAMURA)
ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後、ベネッセコーポレーション入社。2003年、FPオフィスワーク・ワークスを設立し、個人相談、セミナー講師、執筆などで活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2013年12月号」に掲載されたものです。