キルラキル
(C)TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会
(7話より)

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7話放送目前!話題沸騰のテレビアニメ「キルラキル」の制作陣インタビュー、5人目はアニプレックスの鳥羽洋典プロデューサー。「キルラキル」の話はもちろん、プロデューサーのお仕事などもたっぷり聞きました。今回も前編・後編でお届けします。

企画を聞いてすぐに「おもしろくなる」と思った

───「キルラキル」にはいつからかかわっていたんですか?
鳥羽 実はもうドアタマから一緒だったんですよ。「天元突破グレンラガン」(以下、グレン)の劇場版「螺巌篇」の最後の仕上げをしていたときに、「もう一回、今石(洋之)さんと中島(かずき)さんでやりましょう」ってことをおふたりにはずっと言い続けていて。ただ、今石さんはその後「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」(以下、パンスト)があったので終わるまで待ちつつで。中島さんも舞台など他のお仕事が忙しかったんで、どこがタイミングかなっていうのをはかっていたんです。
───おふたりともお忙しいですもんね。
鳥羽 ただ、このまま立ち消えになるのは怖かったので、定期的に今石さんと中島さんが話す場を作りました。なるべく月に一回はふたりが会って話すみたいなことをやり続けて。作品の話やそれとは関係のない話、雑談なんかをして。「さあ企画会議をやりましょう」という感じにしても出てこないと思うので、何回も会ってどうでもいい話をいっぱいしていく中で、芽が出ていくという感じです。
───鳥羽さんはその話を聞きつつ準備をしていく感じですか?
鳥羽 そうですね。放送時期やプロジェクトとしてのバジェット感とかを考えつつ。あとは「グレン」の成功があったので、それをどうやって活かそうかっていうこともありましたね。彼らのコンビが2回目だったこともあって、ふたりはグレンと同じことを絶対にやらないだろうと思っていたので、どういう方向でふたりがやろうっていうのか、様子を見なきゃいけないなと。こっちから「こういうふうにやってください」と言って、必ずしもうまくいくとは限らないタイプのお二人なので。自分たちが心からおもしろいって思えるものじゃないと「やりましょう」ってならない。だから、そういう状況になるのをじっくり待つっていうのが大きかったです。ただ、その状況になった瞬間に準備がすぐできる下地だけは作っておきました。
───決定した企画書といいますか、そういうものをみたときの感触は?
鳥羽 最初に「『男組』の女版をやりましょう」っていうアイデアがあがった瞬間、僕もその場で聞いていたんですよ。中島さんは「鳥羽さんはそれでいいの?ホントにこれでいいの?」って僕に必ず聞いてくれるんですけど(笑)、自分でもこれはおもしろくなるって思いましたね。今石さんが最初に書いたラフメモみたいなのがあって、「男組の女版だったらこんな感じですよね」みたい走り書きで描いた絵があって、「じゃあこれで具体的に進めましょう」っていう感じのゴーサインを僕の方で出した感じですね。結果的に男組とは全く違う内容になりましたけど(笑)

キャラデザインはすしおさんでいくという確固たる決断

───トリガーという新しい会社でやるという話を聞いたときはいかがでしたか?
鳥羽 大塚(雅彦)さんにその話を聞いたときから、「全面的に応援しますし、何か困ったことがあったら最大限の協力をします」とすぐに返答しました。今石さん、中島さんと作るということが一番大事なので、このふたりが活躍できる場であれば、僕としてはどこでも大丈夫でした。ふたりが真剣に仕事をできる場所を提供するのが僕らの仕事でもあるので、そのためのバックアップも必要ですから。
───どこでやっても応援するし、変わらないと。
鳥羽 そして、すしおさんをキャラデザインにすることは早い段階から決まっていて。そもそも「グレン」や「パンスト」のキャラデザインをやった錦織敦史さんとは、この企画の前に一緒に「アイドルマスター」(以下、アイマス)をやる事になっていたので、そうなると錦織さんがこっちに入るのはタイミング的に難しいかもしれないってこともあって。あとはやっぱり今石さんが「次はすしおさんを立てたい」って言っていたんですよ。僕もそれは同じ意見でした。
───鳥羽さんもすしおさんの画を推していたんですね。
鳥羽 すしおさんの画力とかアニメーターとしての才能というのは、他に引けをとらないし絵柄も最高にカッコイイと思っていたんで。やっぱり次はすしおさんの番だと僕も思っていたんです。

流行を追わず、おもしろいと思えることを追求する

───「キルラキル」で新しくチャレンジしていることってありますか?
鳥羽 ずっと言っていたことなんですが、「いまの流行を追いかけても仕方がない」ということです。いまこういうデザインが流行っているとか、こういうものを作れば受けるんじゃないのとか、ようするに記号的な流行ですよね。もちろん、そういう作り方もあるので否定するつもりはないんですけど、今石さん、中島さんと作るなら、ふたりが本当におもしろいと思うものをちゃんとエンタテインメントとして作ろうと思っていて。なので、エンタテインメントという軸だけは絶対にぶらさないけど、いま流行の要素みたいなものは一切気にしなくていいですよ、と。むしろ、そこは無視するくらいの方が絶対にいいものになるって思っていたんです。
───「キルラキル」は昔のアニメっぽくて、見やすいという話も聞きますね。
鳥羽 それは今石さんたちが持っているアニメの普遍性なんですよね。アニメって本来どういうものなのか、というところの軸がぶれていないんですよ。1枚の絵となった時もかわいくてキレイという事を追求していくがために、アニメの持っている芝居や動きのおもしろさがそぎ落とされていくのは間違いなくって。そうじゃなくて、テレビアニメ、古く言うとマンガ映画のおもしろさにもう一回立ち返ろうっていうのはあったと思うんです。更に今の技術で最新の画面にする。そして逆にそれをいま誰もやっていないよねってことも含めてなんですよね。
───宣伝として新しくやったことってあります?
鳥羽 今回はお祭りにしようと思ったんですよ。ようは、このふたりがやる新作だよってことも含めて、みんなで一緒に盛り上がろうっていうお祭りにしたかったんです。だからなるべく、たくさんの人に知ってほしいし、普段はアニメを見ない人でもいいから、とにかく第一話だけは必ずみんなに見てほしいっていう目的があったんですよ。だからいろんなところに「キルラキル」って文字が出るとか、ビジュアルが目につくっていうことを心がけた感じですね。
───具体的にはどんなことですか?
鳥羽 全段の新聞広告やCMの打ち方もそうですし、あとは「グレン」の再放送です。あのタイミングで「グレン」の再放送をやって、Blu-rayBOXを作るっていうことも、「キルラキル」の企画と時期が決まった瞬間にすぐ決めたんです。ひとつは「グレン」を見た人たちにとっても、もう5年前の話なので、そういう人たちにもう一回この楽しみを思い出してほしいっていうことと。もうひとつは、その頃は「グレン」を見てなかった人に対して、こんな面白いアニメがあったんですよ、ということをふまえての一回目の祭りの準備がそこだったんです。そこでふたりが新企画やるよっていうことも発表やろうと思っていました。

マコファン必見!注目の7話

───いよいよ7話が放送ですね。みどころは?
鳥羽 なんといってもマコの回であり、スタッフのマコへの愛情が存分にそそがれています。すしおさん筆頭っていうか、主にすしおさんですが(笑)。そもそも普通はシリーズの7話をキャラデザインが作画監督することないですからねすしおさんがマコ好きなために、7話の作画監督をやっちゃったっていう(笑)。ギリギリまですしおさんが頑張っていましたので。マコ回はみんなの思い入れが強いんですよ。
───中島さんもインタビューでマコのキャラは自分にしか書けないと。
鳥羽 そうですね、中島さんも7話の思い入れが強いですからね。僕らの中でも、マコというある種ギリギリのキャラクターがどれだけ愛されるかっていうのは勝負だったんです。そういう意味では集大成に近い感じです。
───相当愛されていますよ。。色紙プレゼントにもたくさんのコメントがありましたよ!ちなみに鳥羽さんのお気に入りキャラは?
?鳥羽 ぼくは蟇郡なんです。稲田(徹)さんの芝居もあるんですけど、あれだけ気持ちのいいキャラってなかなかいないんですよね。台詞ひとつひとつとか、愚直なところを含めて。ああいうキャラは少年マンガでも一番愛されるキャラだと思っていて。主役じゃないことも含めてね。ああいう立ち位置にいて、まっすぐでひたすら信念をつらぬくキャラっていうのは愛せるなって。
───「キルラキル」で何か野望ってあります?
鳥羽 野望っていうか、やっぱり「今石洋之すごいでしょ」って伝えたいです。中島さんって「劇団☆新感線」をはじめとした人気劇作家として確立されているので。中島さんが書いた新感線の舞台は日本一チケットが取れないと言われているぐらいですからね。それと一緒に「今石洋之すごいでしょ」っていうのをみんなに伝えたいって言うのがあったんです。「グレン」「パンスト」とやってきて知っている人は知っているんですけど、やっぱりまだ知らない人も多いので。いまのアニメの監督としては特異な存在ですから。
───特異ってどのへんですか?
鳥羽 物の作り方や考え方、持っているセンス、沢山のスタッフが集まるカリスマ性など沢山あります。そして誰よりもアニメーションの力を信じている。そういう意味でいっても、今石洋之ってこんなにすごい監督がいて、彼が作る作品って他とは違うし圧倒的におもしろいっていうことをどれだけたくさんの人に伝えられるかっていうのか、僕の中でも勝負だったんですよ。僕はね、宣言します。

「今石洋之を日本のマイケル・ベイにします!」

後編に続く

(小林美姫)