[其ノ二 FX 投資戦略編]NZドル/米ドルの売り NZの利上げ期待一順上昇も頭打ちか
利上げ一番乗りになりそうなNZだが、過熱感もある。米国の量的緩和縮小が再燃すれば、「売り」候補だ。

NZドルは金利に鈍感!?貿易赤字も拡大し、商品市況ピークアウト…

NZドルが特に対円や対豪ドルで堅調です。年初来で各各12〜13%上昇し、今後もNZドルの一段高を見込む向きも多いようです。この背景には、RBNZ(NZ準備銀行)が2014年中の利上げ開始の必要性を指摘する中、先進国で最も政策金利の引き上げ開始が早い中銀となる可能性が高いとの見方があります。

もっとも、経済面から見るとNZドルは上昇しすぎで、今後は頭打ち・反落に転じるリスクが高まっています。

まず、NZドルは歴史的な高水準にあります。対米ドルや対円で今年4月の高値には及んでいませんが、対豪ドルでは2008年以来の水準。当局が重視する貿易加重平均相場は、RBNZがNZドル売り介入した今年5月以来の水準に達しています。

当局によるNZドル高への口先介入、それでも効果がない場合の実弾介入の可能性も高まっており、通貨高抑制のために、利上げ期待に水を差す可能性もあります。

また、コモディティ価格と連動性が高いことで知られるNZドルですが、NZにとって最も重要な商品市況を集めた商品価格指数は9月以降、高水準ながらピークアウトの兆しがみられています。

そして、NZの貿易赤字も2008年以来の水準に拡大。金利は確かに前述の通り、来年利上げが開始される場合には先進国で最も利上げが早い国となる見込みですが、実はNZドルは金利との連動性はあまり高くありません。

唯一、金利差と連動性が高いのはNZドル/豪ドル。ただ、これまでは一方向に金利差がNZドルに有利化してきましたが、最近の豪州の利下げ懸念の後退もあって、今後NZドルに不利な方向に転じる可能性も高まっています。

NZドルを売る場合、売り圧力が継続する円よりも、今後再び量的緩和縮小観測が高まり持ち直しが予想される米ドルに対してのほうが妙味がありそうです。NZドル売りのリスクとしては世界株高が挙げられますが、米国で年末にかけて量的緩和の縮小に向かう中で、株価にとっては上昇抑制要因で、NZドルの連れ高も抑制されるでしょう。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
プレビデンティア・ストラテジー 外為ストラテジスト

日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、RBS、バークレイズなどでチーフFXストラテジストを務め、2013年8月、外為市場調査を行なうプレビデンティア・ストラテジー設立。デイリーとウィークリーで外為戦略レポートを執筆、配信している。http://praevidentia.com



この記事は「WEBネットマネー2013年12月号」に掲載されたものです。