[イベントレポート]YouTube/googleが語る、動画コンテンツの現在と未来

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2005年、日本版YouTubeが公開されてから、8年の間にYouTubeは凄まじい成長を遂げてきました。 今や、アーティストがPVを配信するのは当たり前となり、 テレビ局とのコラボレーションや、映画の有料配信など既存メディアとの連携も次々と進む中、 2012年にはGoogle Playでも映画配信を始めるなど、マルチデバイス化にも余念がありません。

このように日々進化を続けるYouTubeについて、グーグル株式会社、YouTubeコンテンツパートナーシップ日本代表・水野有平氏が「YouTubeの今とこれから」について語りました。

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YouTubeでは“今“なにが起こっているのか

今や、自身で動画を制作し、YouTubeにアップロードするクリエイターは日に日に増えています。中には、YouTubeへのコンテンツ配信のみで生計を立てている人もいるほどです。では、なぜ一般の人々が発信する動画コンテンツが、多くの人々に受け入れられているのでしょうか?それには時代の大きな流れと共に、メディアに対する消費者の感覚が変化していることが関係しているようです。

その指標の一つとして水野氏は「Generation C」(以下、C世代)の存在を挙げました。C世代のCには4つの意味があり、Curation(キュレーション)/Creation(クリエイション)/Connection(コネクション)/Community(コミュニティ)を意味しています。

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また、このC世代には、以下のような特徴があるといいます。

  • 他の媒介なくして、直接、コンテンツそのものと結びついている、初めての世代
  • ・彼らはITリテラシーが高く、インターネットや、モバイルや、SNSなどからの情報を、適宜、現実的なものとして捉え、信じている。
  • 2020年までに、先進国の40%はこの世代が中心となり、世界の消費の中心の世代になると考えられている。

C世代は「35歳以下の男女」と定義されているものの、心理的な状態を呼ぶため、実質的に年齢は関係ありません。
そんなC世代の彼らが支持するのは、「型にはまらないコンテンツ」だと言います。テレビなどで流れる「見飽きた」コンテンツではなく、新しい形のコンテンツに興味を持つ世代です。

そのため、C世代はテレビでは真似できない、新しいコンテンツが日々増えていく「YouTube」を好むのです。

最近ではその影響力少しずつ形となって現れ始めています。

例えば、YouTuberと呼ばれる人気YouTubeクリエイターには何万人ものファンがつき、動画をアップすれば、数万回の再生回数を軽々と叩き出します。中には、YouTube上での活動が話題になり、あのエアロスミスのライブに登場し共演をした人までいます。

今後、YouTubeは時代を動かしていくのか

こうした時代の変化を身近に感じている水野氏は、最後に『今後の日本でのコンテンツの展望』について、「個人的な展望ではあるが」と前置きをした上で、次のように述べました。

日本は1900年代には映画、1953年からはテレビが台頭してきた。今後は”オンラインでの映像”の時代である。”オンライン”で活躍するタレントなどが今度登場するだろう。

YouTubeは、 1年間で3億5千万本のYouTube動画がTwitterで紹介され、1日で500年分の時間に相当する動画がFacebookで再生されているほど、強大な拡散力を持つ”拡散するメディア”です。
映像のプラットフォームとして機能し、各メディアと結びつき、そこからコンテンツ大きく広がっていく。その広がり(拡散力)が今後、YouTubeが映像の中心となっていくと考えられる最大の理由です。今後、更にあらゆるデバイスへの対応を実現していくと思われるYouTubeが、どのようにオンライン映像を変えていくか非常に楽しみです。

>>次ページでは”3つのキーワードから見る、成功する「動画」”

3つのキーワードから見る、成功する「動画」

続いて登壇したのはグーグル株式会社、第一広告営業本部ブランディング戦略担当本部長の武田隆氏。

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武田氏は「ブランド戦略・マーケティング戦略におけるコンテンツの活かし方」には3つのことが重要であると語りました。
それはCreate(クリエイト)/Collaborate(コラボレイト)/Curate(キューレート)の3つ。武田氏は、この3つのキーワードを意識し、実際に成功した動画マーケティングの事例を挙げていました。

Create(創造する)

動画を作り、YouTubeにアップロードするだけでは、ブランドの価値は構築できません。動画の中でブランド独自の世界観を伝えて初めて、動画が活きてくるのです。
そんなブランドイメージの構築に成功した例として挙げてくれたのが、大手ビールメーカーの「Heineken(ハイネケン)」だ。

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Departure Roulette(ディパーチャー ルーレット)

ニューヨークJFK空港で行われたプロモーション“Departure Roulette”(出発先をかけたルーレット)。キャッチコピーは“Drop Everything.Push Button”(すべてを投げ捨てて、ボタンを押そう!)。

旅行客をターゲットにした、このゲームのルールは“ルーレットで決まった土地へ渡航先を必ず変更する”というシンプルなもの。
けれど、結果がどこであろうとも、ルーレットの指示に従い、選ばれた土地へ飛び立たなければなりません。

ハイネケンでは「open your world(あなたの世界を広げよう)」といったブランドイメージを掲げており、このブランドイメージを上手く表現したキャンペーンとなっています。
動画はYouTubeに公開後、4日間で140万回も視聴され、さらに多くのパブリシティでも取り上げられ話題となりました。

「重要なのは、このハイネケンの動画は消費者が"見たい"と思うコンテンツであり、消費者が見ることを選んでいるということです。このような創造的で少し破天荒なコンテンツというのはYouTubeのようなプラットフォームだからこそ、最適なのかもしれません。」と武田氏はまとめました。

Collaborate(コラボレーションする)

冒頭でも述べた通り、YouTubeクリエイターとコラボレーションをするのも有効な方法です。既存のコンテンツとコラボレーションすることでさらなる相乗効果を生み出す事も可能です。
特にアメリカではこの傾向は日本よりも高く、その成功例として、LAND ROVER USA(ランドローバー)の事例が紹介されました。

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In Transit with Peter Bragiel | Land Rover USA

YouTubeの旅チャンネルとして人気を博しているYouTubeクリエイターのPeter Bragiel氏。彼のチャンネル「pdrop」の登録者は2万人近くに上ります。
そんな彼とコラボレーションし、ランドローバー車で世界を旅する様子をYouTubeで配信するというキャンペーン。

ランドローバーでは「旅・冒険」といったことをブランドテーマとしており、YouTube上の旅分野で人気を博しているPeter氏とコラボレーションすることで、このブランドテーマを見事体現し、関連性の高い視聴者を巻き込むことに成功しました。この動画は非常に好評で、TVCMにもなっています。

竹田氏によると、このような「企業とYouTubeクリエイターとのコラボレーション」は世界中で広がっているのことです。

Curate(収集・編集する)

「Curationとは一定の視点で情報を集め、編集すること。コンテンツの世界では、"自らがコンテンツを作るのではなく、人々にコンテンツを作ることを促し、それを収集・編集していき、ひとつの世界を作っていくことである。」と武田氏は説明しました。その一例としてヘルメットカメラメーカーのGoProを挙げています。

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Go ProのUGC(ユーザージェネレイティッドコンテンツ)

GoProのチャンネル内にある動画はGoProが作ったものではなく、80%はユーザーが作ったコンテンツです。
ハッシュタグをつけてユーザーが動画を投稿し、GoProでコンテンツを厳選(Curate)し、自社内コンテンツとしているのが特徴です。

GoProのチャンネルはブランドとその製品を使っている消費者と、両者がいて、初めて成り立っています。GoProの掲げるコンセプトは「Be a HERO」。
誰でも、参加することができ、誰でも「勇者」になれる可能性のある、同社のチャンネルはまさにブランドイメージを体現しているといえるでしょう。

>>次ページでは”国内動画プロモーション事例”を紹介

国内でも広がる動画活用

また、今回のイベントでは、国内でも動画を先進的に活用している企業の例として、「日本ロレアル社」と「キリンビール社」が参加し、それぞれの自社事例も紹介されました。

日本ロレアル社

Go Beyond Protection-最高のUVブロックだけじゃない-

サイトでは効果を説明すると、どうしても長くなってしまう「日焼け止め商品」。そのPR方法を別の形でできないか、と考えた時に生まれたのがこのWEB動画。

「作り手の押し売りにならない表現方法とは、何か」そうした想いを追求した結果、商品を紹介する映像をアート作品へと昇華させることで、存在感と高級感を高めるブランディングに成功しました。

キリンビール社

「のどごし 夢のドリーム」キャンペーン

「のどごし 夢のドリーム」キャンペーンでは、一般の方から”夢”を募り、それを叶えるというキャンペーン。現在第5弾まで夢を叶えており、「ジャッキーチェーンとの共演」から「カツラをかぶって写真集を作りたい」など様々です。

消費者の夢を叶え、気持ちをワクワクさせ、消費財である”ビール”へのイメージを変えることに挑戦。夢を叶えた動画は「ダイジェスト・本編・メイキング」と3編からなっており、TVCMという短い尺だけでは伝えられない部分をWEB動画との連携によって補っています。

編集後記:YouTube Pulseに参加して

今回、YouTubePulseでは、現在日本でも活躍しているYouTubeクリエイターの方々の話も生で聞くことができました。その中でも一番印象に残っている言葉は「TVで人気のあるコンテンツとYouTube(インターネット)で人気のあるコンテンツは違う」という言葉でした。

テレビのCMコンテンツをそのままTrueViewに使っても「これ、テレビで見たことがあるなぁ。」といった気持ちになり、多くのユーザーは興味を示さないでしょう。

また、企業が出したコンテンツよりもYouTubeクリエイターが作ったコンテンツの方が、はるかに再生数が多いこともあります。このような現状から、TVで人気のあるスター。いわゆる”有名人”を出せばコンテンツは見られるという常識はYouTube内では通じなくなってきており、人気のあるYouTubeクリエイターがその存在にとって変わってきている様子が見て取れました。

現在、YouTubeクリエイターのコンテンツ視聴者は、若年層が多いようですが、今後、この世代が大人になった時、”オンライン映像”の在り方は今とは確実に異なっていることでしょう。