バンコクには新聞専門の配達業者がある。担当エリアの配達人は、ひとりですべての新聞社の新聞を購読者のもとへ届ける。DACO編集部では新聞数紙と契約しているので、毎朝、ドサリと音をたてて配達される【撮影/DACO編集部】

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バンコクの日本語情報誌『DACO』の発行人、沼舘幹夫さんは在タイ25年。その沼館さんがバンコクで出くわした「忘れられない1日」を回想します。今から25年前、沼館さんが命を狙われることになった事件とは……。

【第1回】「愛すべき新聞配達員ピー・ソムサック」はこちら

【第2回】「突然の騒ぎ、鼻先に拳銃を突きつけられた!」はこちら

 騒ぎのあった翌朝、午前5時。いつものように、朝刊の準備のために配達員たちがやって来た。

 ピー・ソムサックもアピチェも、仲間を引き連れ騒ぎを起こした張本人のティワもいる。表面的には何も変わらないが、昨日までとは明らかになにかが違う。

 無駄口がない。配達員全員の聴覚が研ぎすまされ、辺りに異変はないか注意を払っている。

〈本日午前10時から緊急ミーテイング〉

 入り口の貼り紙は、全員目にしたようだ。

 私もいつものように、軽く挨拶をして日本からの記事の受信具合を確認し、印刷へ回した。そして、昨夜のうちに刷っておいた、定期購読者に対する「謝罪とお知らせ」をこれから配達する新聞に折り込ませた。

〈……配達員に事故があり、2週間、配達を休みます……〉

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