[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]米国QE3縮小と東京五輪決定の影響
2013年の巨大トレンドになった円安・ドル高。目前に迫った米国の金融緩和縮小とサプライズ度満点だった東京五輪開催決定で、今後の為替相場はどう動くのか? 大胆予測!

米国の年内金融緩和縮小がない場合は、逆に不安要素が拡大

今、世界中の投資家の最大の関心事といえば、米国FRB(連邦準備制度理事会)がQE3(量的金融緩和第3弾)をいつ縮小するのか?

これ以外にありません。

前回、9月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)では、大方の予想に反して緩和縮小が見送られ、金融市場はドル安、株高、債券高(金利は低下)で反応しました。

現在は10月29〜30日のFOMCに注目が集まっていますが、終了後にFRBのバーナンキ議長の記者会見が予定されていないこともあり、緩和縮小はなさそうです。次の12月17〜18日のFOMC(議長会見予定)で緩和縮小に踏み切る公算が高いでしょう。

逆に、12月になっても縮小できないと、金融緩和継続を喜ぶよりも、「米国経済はそれほど悪いのか」という疑心暗鬼が投資家の間に広がる可能性があります。「米国経済の停滞」が再び大きなテーマになるようだと、これまでのドル高トレンドの大前提が崩れ、為替市場には混乱が広がるはずです。

米国では民主党と共和党の対立による債務上限問題や、来年1月のバーナンキ議長退任に伴う後任選びも佳境に入っています。FRBの次期議長レースでは、金融引き締めに積極的とみなされていたローレンス・サマーズ元財務長官が早々に辞退を表明。本命のジャネット・イエレン現副議長は金融緩和に積極的な?ハト派〞として有名です。彼女が新議長に就任すれば、バーナンキ路線が継承される安心感が生まれ、ドル高トレンドをサポートする流れになるでしょう。

ちなみに米国の金融緩和縮小の先送りは、新興国などに緩和マネーが舞い戻ることで「リスクオン」とみなされています。しかし、本当の意味でのリスクオンは、ドルにお金が入ってドル高になったうえで、そのお金が世界中のハイリターンなものに再投資されること。そういう意味では、製造業を中心に米国経済の回復が順調に進むことが、リスクオンの絶対条件といえます。

東京五輪決定で日本では株高・円安のトレンドが継続しそう

一方、日本ではアベノミクスの勢いに陰りが見えてきた中で、2020年の東京オリンピック開催が決定。サプライズなアベノミクス?第4の矢〞になりました。オリンピック開催の経済的効果は非常に大きく、日本株の上昇が続いています。日本の株式市場の主役といえる外国人投資家が日本株に投資するときは、円安進行でドル建ての資産価値が低下するのを防ぐため、セットで円売り・ドル買いの為替ヘッジ取引をするケースが非常にポピュラーです。

今後はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加や消費税増税、法人税減税など、株や為替相場にインパクトの大きい材料がめじろ押し。日本がデフレ脱却、経済成長の方向に一丸となって進むようであれば、日本円サイドから見ても、株高イコール円安トレンドが強まるでしょう。

最近はインターバンクのオーダー動向も、米ドル/円の買い注文が非常に分厚くなっています。ある程度、買いポジションが膨らむといったん縮小に向かいますが、それはポジション調整の域を出ません。米国経済に対する確信が広がり、投資家が持っているポジションをさらに上乗せする「利乗せ」に走れば、1ドル=103円超え、年度内108円到達もありうると考えています。

最近はユーロも堅調ですが、経済はいまだ不安定。依然としてスワップ金利がつき、財政的にも安定した豪ドル/円が魅力です。年内に、もう一度、1豪ドル=100〜103円台、さらに5月の高値105円台を奪還しても不思議ではありません。

【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2013年12月号」に掲載されたものです。