By Mr Jan

マクドナルドバーガーキングを含むファーストフードチェーン店が子どもをメインターゲットに放映するテレビコマーシャル(以下、CM)、この数がアメリカではここ2、3年で減少してきています。さらに、ファーストフードチェーン店では子ども向けにより健康的なメニューを増やそうとしているようですが、イェール大学のラッド食料政策・肥満対策センターの発表したFast Food Facts 2013というレポートによると、子どもたちは以前よりも多くのファーストフードチェーン店によるマーケティング活動にさらされています。そしてその結果、小児肥満症になる子どもが増えているとのことです。

Study: Fast Food Needs to Improve Kids' Marketing Practices | News - Advertising Age
http://adage.com/article/news/study-fast-food-improve-kids-marketing-practices/245110/

So This Is Why Children Are Craving That Fast Food Burger
http://www.huffingtonpost.com/2013/11/05/craving-taco-bell_n_4212560.html?utm_hp_ref=healthy-living

TV Worse Than Other Screen Devices When It Comes to Obesity Risk | TIME.com
http://healthland.time.com/2013/04/08/not-all-screens-are-equal-when-it-comes-to-obesity-risk-tv-may-have-greatest-effect/

イェール大学の研究によると、アメリカでは非常に多くの子どもたちが「子どもをメインターゲットとしていない」ファーストフードチェーン店のテレビCMを見ており、さらにそれらのファーストフードチェーン店ではあまり健康的ではない大人向けのメニューが数多く提供されている、とのことです。この研究がスタートしたのは2010年で、調査の対象はマクドナルドバーガーキング・ウェンディーズ・サブウェイ・KFCなどを含む18のファーストフードチェーン店。

By zen Sutherland

アメリカのファーストフードチェーン店は、子供向け食品広告の自主規制を進めるプログラムのメンバーとなっており、例えばマクドナルドバーガーキングChildren's Food and Beverage Advertising Initiative(CFBAI)の一員となっています。これらのプログラムではUSDA2010年に定めた食事指針をベースに独自の栄養基準を設定しているのですが、それらの基準を満たすような子ども向けのメニューは、ファーストフードチェーン店で提供される食品全体のわずか3%しかないとのことです。

◆ファーストフード産業のテレビCMと子どもたち
2012年、ファーストフード産業はマーケティング活動に約46億ドル(約4600億円)もの資金を費やしています。その資金で宣伝されたメニューのほとんどが健康的ではないものであり、さらに低年齢層は広告活動の重要なターゲットとしてみられているようです。そして、子ども向けのテレビCM数が減少しているはずのファーストフード産業ですが、低年齢層が視聴するファーストフード関連のテレビCMの数は増加傾向にある、とのこと。


ウェンディーズやサブウェイではレギュラーメニューの広告を子ども向けのテレビ番組放送中に放映していながら、「Cartoon Network(アニメ専門チャンネル)上で放映される我々のCMは大人をターゲットとしたものであり、子どもたちに向けられたものではありません」とウェンディーズのスポークスマンが言うように、多くの子どもたちが見るであろう番組の合間に放映されるファーストフードチェーン店の広告を、企業のマーケティング担当者たちは子どもをターゲットとしたCMとはみなしていない点のようです。

CFBAIのKolish氏は「例えば12歳の子ども向けCMが放映されていても、ターゲット層全てがその広告を見るわけではないし、ゴールデンタイムに流れるドラマやリアリティー番組などの視聴者層の中で低年齢層はかなりの少数派になる。例えばAmerican Idol(アメリカの人気リアリティ番組)の視聴者のうち12歳以下の子どもたちはたったの7%ですし、我々CFBAIの目的は大多数の視聴者層に向けて広告することを制限する、というものでもありません。さらにマクドナルドバーガーキングが低年齢層に向けて放映しているテレビCMは、我々の示す栄養基準を満たした食品の広告です」と反論します。

By Phil Burns

◆栄養価の高いメニューと不健康なメニュー
2011年からアメリカのマクドナルドではHappy Meals(子ども向けのセットメニュー)にリンゴのスライスと少量のフライドポテトを追加、これはマクドナルドの売り上げの約10%を占める人気メニューです。この他にもファーストフードチェーン店では、バーガーキングSatisfries(脂肪やコレステロールを減らしたポテトフライ)のようなヘルシーな食事メニューの提案を怠っていないように思えます。しかし、同時に通常の不健康なメニューの数を増やすことも忘れておらず、不健康な一般メニューと健康的なメニューの割合は特に大きな変化がないまま。

By Christian Heindel

このようにファーストフード産業の中では低年齢層に向けたメニューの提供を行ったり、CFBAIのようなプログラムを立ち上げて栄養基準を設定したり、企業によっては子ども向けターゲットCMの数を減らすことで不健康な食品のテレビCMが子どもの目に入る機会を減らそうと努力しています。しかし、どこの誰がどの番組を視聴するかを詳細に予見することが不可能なように、どうしても子どもの目にファーストフード関連のテレビCMが入ってくることはあり、実際に子どもが見るそれらのCMの数は年々増加している、とのこと。

◆テレビと小児肥満
ボストン小児病院子どもの肥満とテレビの関係性を調べた研究によると、テレビと子どもの肥満との間には深いつながりがあることが判明しています。例えば14歳の少年の場合、TVを注意深く見る子どもはそうでない子どもと比べて体重が14.2ポンド(約6.4キログラム)重く、女の子の場合には13.5ポンド(約6.1キログラム)重いということが分かりました。

この研究によるとゲーム・コンピュータ・携帯端末を使う子どもよりも、テレビに夢中になる子どもの方が高いBMI値を示すようで、それはテレビを見ているとカロリーの高い不健康な食べ物のCMがたくさん放映され、そのCMを見ているとき子どもの手はがら空き(テレビはゲームやコンピュータを触っているときのように手が埋まる心配がない)、そして高カロリーのジャンクフードが食べたくなる、とのことです。

By Marsmettin Tallahassee

テレビを視聴する時間が長い子どもではなくテレビに夢中になる子どもが肥満になりがちであり、そういた子どもたちがファーストフードチェーン店の不健康な食品CMを見る機会は確実に増加しており、子どもの肥満化は30年前よりも2倍、10代の若者だと3倍にもふくれあがっているという事実もあります。テレビに釘付けになってしまっている子どもがいる家庭では、子どもが何に強く引かれているのかを両親がよく知ること、これが子どもの肥満防止や解消の第一歩となる、とハーバード・メディカル・スクールの准教授であるマイケル・リッチさんは言います。

By Jason Berberich

日本でも多くのファーストフード関連のCMが放映されているので、テレビに夢中になりがちな子どもには注意を払い、そしてそれらのCMを見たあとに襲ってくる無性にファーストフードが食べたくなる衝動を子どもと一緒に我慢する必要が両親にはあるようです。