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JR東日本は8日、列車脱線事故により全線で運転を見合わせていた岩泉線(茂市〜岩泉間)について、国土交通大臣に廃止の届出を行ったと発表した。正式な廃止は2014年4月となる見込みで、廃止後は同社が責任を持って代替バスの運行を確保するとしている。

岩泉線では2010年7月31日、押角〜岩手大川間にて、崩壊した土砂に列車が乗り上げ、脱線する事故が発生。同年8月2日からバスによる代行輸送が行われている。その後、JR東日本は有識者を交えた「岩泉線土砂崩壊災害原因調査検討委員会」を設置。事故原因の調査や岩泉線全線の安全性の評価などを行ってきた。

委員会による調査の結果、大規模な岩盤崩壊の恐れのある箇所が23カ所、列車の運行に影響のある大きな落石の恐れのある箇所が88カ所あることが判明。列車の安全を確保するために、少なくとも約130億円の費用と長期にわたる工事が必要であると判断された。

一方、JR発足時の1987年、1日あたり180人あった利用者数は、2009年に1日あたり46人まで減少。こうした状況を踏まえ、JR東日本は2012年3月、「鉄道での復旧を断念せざるを得ない」と表明した。岩手県および沿線自治体の宮古市・岩泉町との間で廃止とその後の代替輸送について協議を進め、このたび合意に至ったという。

廃止後の代替バスは現行の岩泉線の区間を基本とし、運行本数(1日4往復)や停留所、運賃などについても現行の鉄道水準を基本とする。代替バスの運行は地元事業者が行う。岩泉線廃止後の鉄道施設・用地については、押角トンネル(約3km)を岩手県へ、茂市〜岩手和井内間(約10km)を宮古市へ、浅内〜岩泉間(約7.4km)を岩泉町へ無償譲渡する。

なお、JR東日本は、岩手県が計画する一般国道340号押角峠の道路改良の事業に要する費用の一部について資金提供を行うとのこと。

(佐々木康弘)