堺谷太一(さかいや たいち) 1935年大阪府生まれ。60年東京大学を卒業、通商産業省へ入省。日本万国博覧会を担当、沖縄開発庁に出向中は沖縄海洋博も手掛けた。78年に退官、作家として『油断!』『団塊の世代』などのベストセラーを生み出す一方、85年には経済理論「知価革命」を提唱し、国際的評価を得ている。98年7月より2000年12月まで経済企画庁長官、2000年12月より04年9月まで内閣特別顧問。以降もさまざまな要職を歴任。13年8月、内閣官房参与に就任。

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アベノミクスの第3の矢「成長戦略」の目玉、「特区」の真の狙いとは? そして日本経済や株式市場にはどのような影響を及ぼすのか? 安倍政権下で内閣官房参与を務める堺屋太一さんが特区が今後の日本へに与えるインパクトについて語ってくれた。

第3の矢「成長戦略」は前の2本とは異質な矢

 アベノミクスの3本の矢のうち、1本目の「大胆な金融緩和」と2本目の「機動的な財政出動」は既存の制度をどのように運用するのかというノウハウ面の政策です。それに比べて、3本目の矢である「成長戦略」はこれらとはまったく異質であると言えます。

 「誰が(Who)どこで(Where)何を(What)するのか? それはなぜ(Why)か?」という4つのWが関わってくるもので、矢(制度)自体から新たに作らなければならないし、的(目的)も設ける必要があります。

 しかも、「その政策を進めれば、日本は長期的に成長する」と誰もが確信できる内容でなければなりません。

 まず、大前提として求められてくるのは、日本人の倫理観を変えることです。率直に言って、今の日本は「おもろない」国です。

 ほとんどの日本人が株式投資をやらない。それを私は「なんでやろ?」と首を傾げてしまいます。日本は世界随一の安全で平和な国だが、おもしろみに欠けてしまっている国なのです。

 戦後の日本はまず平和と安全を追求し、清潔や事故・犯罪防止を推進しました。そして、様々な規制によってがんじがらめにし、事故も事件も起こらないようにしました。

 ところが、実は火災による焼失率は諸外国よりも高い。規制のための規制が多いのです。さらに、財産の安全も突き詰め、日本は世界で最も投機とバクチの取り締まりが厳しい国となった。

 安全最優先は悪いことではないのですが、その結果、「おもろない」国を作ってしまいました。

 18世紀末のフランス革命以来、人々は自由と平等とともに「幸福の追求」を掲げてきました。幸福の追求とは「人生はおもろい」と感じることですが、戦後の日本人はそれを犠牲にしてしまった。

 今こそ日本人は、「楽しさを求めることも正義だ」という倫理観を養うべきでしょう。

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