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NISA(少額投資非課税制度)口座の開設手続きが10月1日から始まっている。顧客獲得競争は一段と激化し、NISAの仕組みは理解している投資家でも、どこの金融機関でNISA口座を開設すると有利なのか、迷ってしまう。そこでネット証券、大手証券、ネット銀行、メガバンク、地方銀行、生命保険のNISA口座をキャンペーンも含めて比較しよう。きっと、有利でお得な金融機関が見つかる。

2020年にNISA残高25兆円を目指す

東京オリンピックが開催される2020年、政府はNISAを活用した投資残高25兆円達成を目標に置いている。途方もない数字のように映るが、事前調査によれば実は「達成可能」という答えが出ている。

大手シンクタンク野村総合研究所(NRI)が実施したNISAについての消費者意識調査(7月時点)によると、NISAの認知度は導入の閣議決定が行なわれた2月時点の調査に比べて「聞いたことがあり、内容も知っている」人が5%↓13%、「聞いたことはあるが、内容は知らない」人が18%↓25%に増え、5カ月の間に認知度が高まったことがわかる。

アンケート結果から推計できる利用者数は950万人から3100万人の範囲。5年間のNISA口座への投資額の平均値は220万円(「利用したい」と答えた人の平均値は295万円)なので、5年後の投資総額は28兆円から68兆円の間となり、政府が目標とする2020年(7年間)で利用者数1500万人、投資総額25兆円は「5年以内に達成できる」と、NRIは予想している。また、年内に口座開設を予定している人の合計は780万〜970万人に達するようだ。

10月1日の口座開設申請手続開始初日の申請件数は300万件を超え、その多くが証券会社を選んだと報道されている。NRIが予測した年内口座開設数の3分の1を達成したことになり、順調な滑り出しと言えるが、これから年末にかけてさらに600万件前後の口座が開設される可能性がある。

取扱商品が多く手数料が安いのは?

NISA口座を獲得できた金融機関は、投資意欲満々の顧客の?メインバンク〞の座を手に入れることができる。NISA口座の仕組み自体はどの金融機関でも同じなので、差別化のためにキャンペーンに力を入れて口座獲得を目指す理由がよくわかる。

一方、投資初心者から見ると、どの金融機関に口座を開けば良いのか、判断がつかない。しかも、金融機関からは請求した覚えもない「NISA口座申込書」が頻繁に届くので、返送が必要な書類なのかと、勘違いしている人も多いだろう。

そんな迷える投資初心者に対して、金融機関の事情に詳しいFPの深野康彦さんは「NISA口座は取扱商品が多く、手数料が安い金融機関に開くといい」とアドバイスする。

「NISA口座で売買できるのは株式とETF等を含む投資信託なので、この機会に株式投資も経験したいというのなら両方を扱う証券会社が候補になります」

来年度以降、制度が大きく変更?

NISAの仕組みは完成形というわけではない。たとえば現状では特定口座などとは異なり、ある金融機関でNISA口座を作ると、そこでずっと取引することになる。こうした使い勝手の悪さを解消するため金融庁は、2014年度の「税制改正要望事項」を自民党の財務金融部会に提示した。その内容は、?NISA口座開設等の柔軟化? NISA口座開設手続等の簡素化2つになる。

NISA口座開設等の柔軟化では、1年単位でNISA口座を開設する金融機関の変更を認めること、NISA口座を廃止した場合、廃止した口座を開設した時点から4年間、口座を再び開設することができないが、要望では翌年以降にNISA口座を再開設することを認めることを求めている。

NISA口座開設手続き等の簡素化では、NISA口座開設時の重複口座確認については、現行では住民票の写しなどの提出が必要だが、社会保障・税番号(マイナンバー)制度を用いて、取得に手間のかかる住民票の写しなどの提出を不要とすることを求めている。

その程度のことなら最初から設計に盛り込んでおけばいいのに、という思いは投資家なら誰でも抱くだろうが、それでも制度改正に向けて動きだしたことは歓迎できる。さらに深野さんは「2015年度にはNISA口座に組み込める商品の追加もありそう」という。現在は株式と株式投資信託が対象で、債券は対象外だが、15年度をメドに国債などの公社債や公社債投信も対象とする方向で検討が進んでいる。

NISAポイント現状まとめ

・口座開設は20歳以上の成人、1人につき1つだけ
・毎年、100万円分までの投資が非課税に
・投資対象は、株(REIT、ETFを含む)と投資信託
・損失が出た場合の損益通算はできない
・住民票を金融機関に提出する必要がある
・保有投資信託を移管することはできない

深野康彦
ファイナンシャルリサーチ 代表

中堅クレジット会社勤務などを経て独立。独立系ファイナンシャル・プランナーとして個人のコンサルティングを行ないながら、テレビ・ラジオ番組への出演、新聞やマネー誌、各種メールマガジンへの執筆など、メディアへの出演多数。



この記事は「WEBネットマネー2013年12月号」に掲載されたものです。