【今回の質問】

テレビで頻繁に流れるネット生保のCMを見ていると、自分の入っている保険は高すぎる気がしてきました。しかし、見直すにもポイントがよくわかりません。いくらぐらいが妥当なのでしょうか?(会社員・37歳)

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

 保険ほど身近なのにわかりにくい商品はありません。例えば、皆さんの多くが加入している生命保険。

 私も初めて保険を見直すまで、月々の支払額は覚えていても、それ以外は全く無頓着でした。しかし、保険に関する各種統計をまとめている生命保険文化センターによると、1世帯当たりの平均支払生命保険料は、年間41万6000円。30年間払うとすると1248万円ですから、マンションや高級外車クラスの大きな買い物になります。 

 普段、高額な買い物をする時、私たちは十分に吟味しますよね。ところが、保険に関しては、社会人になりたての頃に勧められて入ったままという人が少なくありません。生命保険、医療保険、がん保険など、年齢や状況に応じて必要な保険は変わります。毎年のように新商品も出ます。ですから、十分な保障を確保しつつも、きちんと見直していくことが必要なのです。

◎子供がいても1000万円で十分

 そもそもなぜ保険は必要なのでしょうか。例えば、生命保険は死んだ時、医療保険は病気を患った時、がん保険はがんになった時に保険金が出ます。しかし、こうした保険金は、いわば不幸中の幸いぐらいのものと考えてください。

 皆さんもご経験はあるかと思いますが、病気を患った時は肉体的にもつらいですが、仕事や生活などにも影響が出るので、精神的にも相当へこみます。さらに、お金まで飛んでいくとしたらたまったものではありません。そんな時、せめてお金だけでも返ってきたら、少しは心にゆとりが戻ってきます。

 よく、掛け捨て型の保険は何も起きなかった場合に損だ、と言う人がいますが、何かあっても不幸中の幸いがあるという安心感を買うと思えば、十分に価値はあると思います。

 とはいえ、家族にお金を残すことが目的の生命保険にしても、いくら必要かは収入や家族形態によって大きく異なります。

 生命保険文化センターのデータでは、35歳から49歳の人が加入している生保死亡保険金の平均は約2500万円。これは少々多すぎると、私は考えます。

 では、適正な保険金額はいくらか。それを知るためには、残された家族が新たに自立して暮らしていくために必要な額を、あらかじめ概算しておく必要があります。

 仮にあなたが会社員であれば、会社から退職金、公的年金から遺族年金が出ます。妻が専業主婦であっても、生活を立て直すための資金はこれでまかなえる可能性があります。

 ですから、独身のうちは生命保険はなしでも構いませんし、結婚後も子供がいないうちは、保険金額は500万円もあれば問題ないでしょう。しかし、子供が生まれると、一気に保険金額を上げる必要があります。やはり教育や子育てにはお金がかかりますから……。それでも1000万円もあれば、残された家族が家計を立て直す資金としては十分。そして、子供が独立したらまた妻への500万円にまで減らす。つまり、生命保険は一度加入したらおしまいではなく、ライフステージに合わせて見直すことが重要です。私は、別図のような凸型で組み立てていくことをオススメします。

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◎半ば強制的に差額ベッド代の部屋へ

 実際、私も見直しでがん保険をやめ、生命保険の額も減らしました。これで毎月の保険料を半額に節約。ただし、医療保険に関しては入院時に日額1万円、手術の時に10万円が保障される手厚い商品に切り替えました。

 確かに、日本は公的保険である国民健康保険などの社会保険が充実しています。医療費は3割の自己負担ですみ、高額療養費制度によって支払額が頭打ちになる仕組みもあります。若く健康な人ほど、民間の医療保険はいらないと考えがちです。

 ところが、実際の医療現場には公的保険の範囲外の医療が山ほどあります。例えば、私は白内障の手術を受けようと思っていますが、通常の手術費は12万円。しかし、乱視も治そうとすると先進医療扱いで保険適用外となり、費用は一気に80万円に膨れ上がります。この場合、高額療養費制度も使えません。

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

 また、入院したことがある人はご存じだと思いますが、安定した収入のある人は安い部屋にはなかなか入れず、結局、差額ベッド代のかかる部屋に回されます。安い部屋が空くまで待っているわけにもいきませんよね。

 この差額ベッド代も公的保険の適用範囲外ですから、入院が長期化しようものなら、大変なことに。こうした不安を考えると、先進医療をカバーし、入院時に日額5000円から1万円ほどを保障してくれる医療保険は、絶対に入っておきたいところ。「転ばぬ先の杖」となることは、間違いありません。

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『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』

山田真哉

一般財団法人芸能文化会計財団理事長・公認会計士・税理士。160万部突破の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』ほか著書多数。最新刊『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』(小学館刊、1365円)も5万部突破!