「常にパニック状態だった」 岡村隆史を救った矢部浩之の決断

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「その時、ホンマに辞めようと思ったんですよ、芸能界。もういいや......って思って」
ナインティナイン岡村隆史は自らが「パッカーン」状態と表するうつ病になって約半年間休養した時の心境を、同じようにうつ病で苦しんだ丸岡いずみのVTRを受けて11月5日放送の『ナイナイアンサー』(日本テレビ)で語った。

当時は一睡もできなくなってしまったという。その状態が何ヶ月も続き、ラジオ『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のネタハガキを選んでいる時も「あれ、これ採用やっけな、不採用やっけな?」と分からなくなり、気がついたらハガキが周りに散乱。「ええ?どれ読むんやっけ?」と混乱してしまっていたという。もっとも深刻な時は、自分のサインさえもどうやって書いていたか分からなくなってしまった。当時を岡村は「常にパニック状態だった」と振り返った。

それを聞いていた矢部浩之は終始、当時を思い出すような、なんとも言えない表情で微笑んでいた。その頃岡村はどんなに「休め」と進言されても「休まへん」と答えていた。だが、遂に矢部は決断する。「言う事聞いてください。岡村さん、休みましょう」と目を見て岡村に告げ、「かんべんしてくれぇ〜、相方」と泣きつく岡村の声を払いのけ、半ば強制的に岡村に休養をさせたのだ。

そのことをニヤニヤしながら振り返る矢部のニヤケ顔には覚悟を決め修羅場をくぐった者の強さがにじみ出ていた。

そして半年間の休養中に岡村はだんだんと「1個くらい面白いこと言えるかもわからんな......」と前向きに思うことができるようになっていった。「あれ?できたかもしれん」と。

それまでは一度たりとも自分がスベることが許せなかった。自分ですべてを抱え込み、その責任を背負っていた。それが芸人としてのプライドであり、自分の支えでもあった。けれど次第に考え方が変わってきたのだ。

「あ、スベってもええんかな」と。

そう、たとえスベっても、いつだってニヤニヤ笑いながら矢部がツッコんでくれる。それが今の岡村の支えとなっているはずだ。

文=てれびのスキマ(http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)