観覧車の前に立つクンナット・チアムさん=プノンペン市内で【撮影/木村文】

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朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住。現在は現地のフリーペーパーの編集長を勤める木村文さんのカンボジアレポート。2011年、カンボジア初の遊園地が完成した。そこに込めた、あるカンボジア男性の思いとは……。

 カンボジアの首都プノンペン。王宮や独立記念塔のあるその中心部に2011年、大きな観覧車のある遊園地「ドリームランド」が建設された。

 つくったのは、カンボジア人の実業家クンナット・チアムさん(38)。クンナットさんのビジネスは、21歳のとき、たったひとりで香港に古着を買い付けに行ったことから始まった。衣類のほか、車の部品や重機を扱う貿易業から、クンナットさんはなぜ、娯楽という目には見えないサービスを売る仕事へと目を向けたのか。

 そのヒントはクンナットさんの生まれた年にあるのだが、まずはその半生について知って欲しい。

1996年、戦後復興とともにビジネスチャンスが生まれた

 クンナットさんが仕事を始めたのは1996年、21歳のときだった。米国に住んでいた叔父が、「カンボジアでいい商売があれば戻ってきたい」とクンナットさんの母親に相談した。当時カンボジアでは、内戦後の本格的な戦後復興が始まっていた。まだ治安に不安はあるものの、だんだんとビジネスチャンスも生まれていた。

 両親は飲料販売の店を営んでいたが、当時羽振りが良かったのは古着屋だった。クンナットさんは英語が話せたので、アメリカ育ちでクメール語が話せない叔父の通訳兼助手として、古着屋の仕事を始めた。

 初めはなかなか流通ルートがつかめなかったが、羽振りのいい古着屋はアメリカではなく、香港からの輸入ルートを持っていることを突き止めた。「彼らはダイヤモンドを身につけ、車を乗り回していました」。

 香港の古着輸出業者を見つけ出して連絡をとったが、最初はまったく相手にされず。何度も何度も連絡をするうちやっと言われた。

「そんなに言うなら香港へ来い」

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