今から12年前の2001年6月8日。大阪教育大附属池田小学校で、忘れることのできない事件が起きました。当時37歳だった宅間守が、出刃包丁で児童8人を殺害。児童13人・大人2人に重軽傷を負わせたのです。一審は、死刑判決。その後、宅間の弁護人が控訴をしましたが、宅間自身がそれを取り下げ、死刑が確定。2004年に異例の早さで死刑が執行されました。犯罪史に残る大量殺傷事件を起こした宅間には、精神科での治療歴がありました。その責任能力の有無を明らかにするため、専門家が精神鑑定を実施。宅間と専門家との面接は17回にものぼりました。精神鑑定を行ったのは、精神科医の岡江晃氏。その岡江氏が、公開が原則禁じられている精神鑑定書を、ほぼそのまま本にしたのが『宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで』です。人名や組織名などは、匿名または伏せ字にしていますが、大阪地方裁判所へ提出された鑑定書をそのまま収載している本書。犯行直前の宅間守の心理状態も事細かに記録しています。4人の女性との結婚歴があった宅間は、離婚訴訟や借金、詐欺などの様々なトラブルを抱えていました。その中でも3番目の元妻に対しては、別居してから3年半の年月にわたり、「復縁したい、1000万円の賠償金をとりたい、どちらもできないなら殺したい」と考え続けていたようで、本件犯行の16日前には殺すことを決心。具体的に準備を始めたとのことです。しかし、目的は次第に小学校での事件に変わっていきました。本書では、そんな宅間の自分勝手な考えを、確認できる範囲で克明に記載しています。裁判の争点となった責任能力の有無。岡江氏は、「責任能力があった」と結論づけています。
『宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで』 著者:岡江 晃 出版社:亜紀書房 >>元の記事を見る

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