写真提供:マイナビニュース

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今回と次回の2回にわたり、「懐かしのサウンドアルバム」と題し、昭和の時代を駆け抜けた電車や客車列車、貨物列車のサウンドを、写真とともに紹介していきます。今回は国鉄編。中央線101系のほか、常磐線を走るEF80形牽引の客車列車、品鶴線を走る貨物列車のジョイント音を紹介しましょう。

筆者がジョイント音(走行音)を録音するようになったきっかけは、ソニーの「1780」というラジカセを購入したことから始まります。当初はラジオの深夜放送を録音したり、その頃ブームだったBCLで海外からの日本語短波放送を聞いたりしていました。その後、外部マイクを接続し、身近な目蒲線の電車が通過する音を録音したのをきっかけに、各線の走行音を録音するようになっていったのです。

10年ほど前に、一度カセットテープからMDにダビングしていたのですが、それすらも忘れていました。最近ようやくMDのことを思い出し(ちなみにMDプレーヤーは壊れました)、音源をデジタル化。昭和のサウンドが日の目を見ることになりました。

昭和レトロ、懐かしの国鉄サウンド。まずは1974年9月に録音した、中央線101系による八王子〜高尾間の走行音をお聞きください。ゆるやかな上り勾配を行く新性能車の懐かしいモーター音と、西八王子駅停車中に起動する101系独特のコンプレッサ−音が楽しめます。

続いて101系をもう1本。同じく1974年9月に録音した、中央線101系による小仏トンネル手前から相模湖駅までの走行音です。25‰(パーミル)の勾配を上り、小仏トンネルに入ると徐々にスピードダウン。トンネル内の最高地点をのろのろと越えると一転、勾配を転がるように走行。その後はのこぎりブレーキで、終着の相模湖駅へ入線します。

ちなみにこの走行音は、当連載第25・26回で紹介した中央線「相模湖臨」の101系を撮影した際、ラジカセ持参で録音していました。

次は1975年12月14日に録音した、常磐線上野発仙台行普通列車の走行音です。当時の常磐線には、1日あたり上下計6本の長距離普通客車列車が運転されていました。

このとき録音した列車は、旧型客車をEF80形が牽引する客車列車で、上野駅12時25分発、常磐線を経由して仙台駅到着は21時18分という、いまとなっては再現しがたい長距離列車でした。この列車は、同じ線路を走行する103系(常磐線快速)のダイヤに影響しないように、上野駅を発車した後、日暮里駅、松戸駅、我孫子駅、取手駅の順に停車していました。

それでは、上野〜日暮里間と我孫子〜取手間、そして取手駅を発車するときの様子をお聞きください。旧型客車独特の走行音、連結器や幌の軋み……、昭和の汽車旅が蘇ります。

そして今回の国鉄編の締めくくりとして紹介したいのが、1974年頃に録音した、品鶴線を行く貨物列車のジョイント音です。品鶴線は品川〜鶴見間を新鶴見操車場経由で結んだ貨物専用の支線で、現在はおもに横須賀線・湘南新宿ラインの電車が走行しています。

品鶴線の貨物列車は、茶色の旧型機からEF66形まで、さまざまな電気機関車が牽引していました。機関車に続く貨車は、絶滅したワム・ワラなど2軸車だけの編成から、2軸車とコキやタキなどのボギー車が混成された編成まで、いまでは聴くことのできない貴重で懐かしいジョイント音が聴けました。

これらの国鉄サウンドを聴きながら、ふと思い出したことがあります。当時、ラジカセで走行音を録音する際、カメラも一緒に持って行ったのですが、録音中は両手がふさがってしまい、1枚もシャッターを切ることができなかったことが何度もありました。……まあ、当たり前といえば当たり前ですが(笑)。

○「鉄道懐古写真」撮影時期と撮影場所

※写真は当時の許可を取って撮影されたものです
松尾かずと
1962年東京都生まれ。
1985年大学卒業後、映像関連の仕事に就き現在に至る。東急目蒲線(現在の目黒線)沿線で生まれ育つ。当時走っていた緑色の旧型電車に興味を持ったのが、鉄道趣味の始まり。その後、旧型つながりで、旧型国電や旧型電機を追う"撮り鉄"に。とくに73形が大好きで、南武線や鶴見線の撮影に足しげく通った

(松尾かずと)