前回述べた長寿リスクに備える手段として、最も有効なのは、当然ではありますが貯蓄と資産運用です。それも、人生をどう生きるかという、ライフプランに基づいた計画的な貯蓄と資産運用がが不可欠といえます。その具体例を挙げましょう。

 人生には、貯蓄がしやすい?貯め期?(タメキ)が存在します。例えば、社会人となってからが最初の貯め期であり、結婚して、子供が生まれるまでが2回目の貯め期です。そういった貯め期を逃さないように貯蓄していけば、計画的に老後に向けた資産形成をすることができるはず。マイホームや教育資金といった、人生の大きな出費についても、併せて考えていくことが大事になっていきます。ここでは、人生最後の貯め期である50代と、その前の40代のマネープランについて、簡単に触れておきましょう。

 40代は、人生でもっとも出費が激しい時期と言えます。結婚して、子どもが生まれていれば、教育費がかかりますし、生命保険など各種の保険にかかわる保険料も必要となります。サラリーマンなら、収入がアップする時期でもありますが、支出も増大するので、貯蓄する時期というよりは、なるべく出費を抑えることを意識した方が良いでしょう。

特に、子どもの教育費には注意してください。中学校に進学してから自立するまでは、特に教育費が増える時期ですが、安易に私立校などに進学してしまうと、たいへんな出費となってしまいます。

 子どもの学校をすべて私立校にすると、教育費だけで2000万円を超えてしまうのです。子どもが2人なら2倍の4000万円となる計算です。しかも、この計算には、進学に必要な学習塾の費用などは、換算していません。金額だけを見れば、マイホームに匹敵する費用となっていることがわかるでしょう。

 こうなると、世帯収入が700万円程度の家庭では、住宅価格にもよりますが、マイホームと子どもの教育費を両立させることは困難になります。子どもが1人ならともかく、2人以上の場合は、マイホーム購入を前提とするなら、少なくとも公立の学校を選択すべきでしょう。逆に、私立校を優先するなら、マイホームをあきらめるくらいの覚悟が必要となります。

 家計において、教育費は?聖域?となりやすい項目です。子どものためにと思うと、出費を許してしまいがち。しかし、教育費を聖域とする考え方からは変えるべきだと思います。50代、特に半ば以降から定年までは、人生の3回目にして最後の貯め期となります。30歳前後で結婚をして、30代前半で子どもが生まれた世帯であれば、教育費から解放されるのはこの時期となるからです。50代は、家計の負担も少しずつ軽減されていきますので、老後に向けて、積極的に資産運用をして欲しいと思います。

NISAで備える『長寿リスク』(第3回)

 60代の前半は、退職金がもらえる人も多いでしょうし、企業によっては雇用延長で65歳まで働ける人もいると思います。年金が出なくても、生活が脅かされることはないでしょう。しかし、退職金が少なくなって、収入が年金のみとなってくる70歳以降は、本格的に貯蓄を取り崩す時期となります。50代後半の貯め期は、この70代で取り崩す老後資金を貯めることが望ましいと思います。

 そう考えることができれば、50代後半での運用期間は10年以上あることになります。リスクのある金融商品での運用が、十分可能な期間です。私は、投資や資産運用のビギナーには、投資信託が向いていると考えていますが、その投資信託のうち、国内および海外の株式型と債券型のインデックスファンドを使った分散投資が適していると思います。

 現在、すでにこの時期に差しかかっている方は、ぜひ、NISAを使って実践してみてください。50代であれば、ある程度の金融資産があると思います。NISAの投資上限枠を少ないと感じるかもしれません。そういう方は、課税口座を含めたポートフォリオを構築し、より大きなキャピタルゲインが期待できる金融商品に、NISAで投資をすべきです。NISAの投資上限枠の少なさを補うことができるでしょう。

 日本では、14年4月の消費税引き上げに続いて、15年10月でのさらなる引き上げが予定されています。さらに、相続税も実質的に増税されており、また、サラリーマンの給与所得控除は高額所得者中心に縮小されました。今後、高齢化社会の進展とともに、年金を筆頭とした社会保障費の減額の可能性も高まっています。今後、「長寿リスク」は、ますます社会問題化することは想像に難くありません。おそらく、定年退職した後の高齢者世代の雇用も不可欠の時代が到来するのではないでしょうか。

 いずれにしても、老後資金のための貯蓄の重要性は変わりません。そのためにも、あらゆる世代の人にNISAを活用して欲しいと思います。

(文/目黒陽子)

目黒陽子

めぐろ・ようこ。1975年生まれ。成城大学経済学部卒業後、大和証券に入社。2001年に退社後は、フリーキャスターに。『お元気ですか 日本列島』(NHK総合)、『ウェークアップぷらす』(読売テレビ)など、情報番組を中心にキャスター、レポーターとして活躍。現在、『news every.』(NIB長崎国際テレビ)に出演中。また、ファイナンシャルプランナーとして、メディアやセミナーを通じ、資産運用を個人に身近なものとするための情報発信を続けている。マネー関係の著書として『金トレ!』(マガジンハウス刊)がある。