清水公也教授

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眼鏡、コンタクトレンズ、レーシックと、近視の矯正・治療は時代を追って手法の開発が進んでいるが、ある最新手法が一層の注目を集めている。

それは「眼内コンタクトレンズ(ICL)」と呼ばれるものだ。白内障治療や近視治療において日本を代表するエキスパートである北里大学医学部眼科学教室の清水公也教授によると、その治療件数は著しく伸びているという。清水教授にICLについて聞いた。

「眼への負担はほとんどなく、取り外しも可能」

ICLは「Implantable Contact Lens」の略で、Implantableは「埋め込み式の」という意味。眼の中に小さなレンズを挿入して視力を矯正する手法だ。「有水晶体眼内レンズ挿入術」というのが正式名で、一般のコンタクトレンズと異なり手入れなどが不要なことから「永久コンタクトレンズ」とも呼ばれている。

レンズはソフトコンタクトレンズのようにやわらかい素材で、サイズは「極小」。目薬タイプの麻酔の後、角膜を約3ミリ切開した隙間から挿入する。両眼で10〜20分程度で手術は終わり、その直後から視力の回復を実感できるという。

清水教授によると、手術と聞くとためらいを見せる人も少なからずいるが「眼への負担は少ない」という。レーシックは「角膜の広い範囲を削るため視力が安定するまでに1週間から1か月の期間が必要になる」のに対して、ICLは「ごく小さな切開なので、縫合の必要はなく傷は自然に治癒する」と述べた。また、傷が小さいため術後の視力の変動やドライアイなどの発生も少ないという。

さらに「レーシックなどほかの手術では視力を回復できない強度の近視や乱視に特に向いている」と、レーシックより治療の対象が広がる可能性を示唆。また、必要な場合はレンズを外して矯正前の状態に戻せるという「可逆性」もメリットとして言及した。この特性により、加齢を要因としてだれにでも発症する可能性がある白内障の手術が必要になった場合でもスムーズに治療ができるという。

ICLは知名度という点ではまだレーシックに劣っているが、これまでに世界で約37万5000件の手術例がある。日本では1997年にその技術がもたらされて以来、約7000件の手術が実施されており、厚生労働省は2010年2月に承認した。

清水教授が開発に携わった新モデルのICLが欧州やアジアを中心に世界各国で導入されているという。「従来のものより手術工程が少なくなり、時間も短縮できる。臨床試験の経過も良好だった」とし、厚労省に承認申請中という。日本の近視人口の割合は世界一の水準といわれるだけに、近視治療の進化には今後さらに注目が高まるとみられる。