消費税を増税すると、日本株は下落する?
10月にも、消費税の増税が決定しそうです。増税は景気を減速させる要因、過去にも増税が原因で日経平均が下落したという専門家もいます。しかし、本当に「増税=日経平均下落」という図式が成り立つのでしょうか?

当初の予定通り、2014年4月から消費増税を行なうかどうかに資本市場の注目が集まっています。この10月にも最終決断をする方向で議論が進んでいるようです。

そもそも、消費税の増税は、医療費などの社会保障費を賄うために必要と言われています。日本政府の対GDP債務残高比率(その国の経済規模に対して適切な負債かどうかを測る指標)は、先進国でワーストワン。国債発行だけでの社会保障費補填は限界なようです。一部の論文には、社会保障費補填だけでなく、日本政府の財政を持続可能な状況にするには消費税を35%にまで引き上げる必要があるといった過激な意見もあり、どうやら消費増税は避けられないとの見方が一般的です。

では、消費増税が行なわれた場合、資本市場にはどのような影響があるのか?

「1997年に3%から5%へと消費増税が行なわれたことで日経平均は下落基調をたどった。今回も消費増税を行なえば日経平均は下がるにちがいない」と一部の投資家からは心配されているようです。

ですが、日経平均に組み込まれている企業は、国内景気に左右されやすい内需企業だけでしょうか。また、大企業の多くは、どこの地域を主戦場に闘っているのでしょうか?そう、海外です。

では、1997年のケースは何だったのだと思う方がいるかもしれません。当事の日経平均が下落したのは、バブル直後の国内金融危機やアジア金融危機が重なったことが大きいと思われます。また、2000年に入ってからはITバブル崩壊もあり、複合的な要因が日経平均下落の背景にあります。つまり、増税だけが原因とは考えにくく、増税で仮に国内景気が一時的に停滞しても日経平均が下がるとは断言できないのです。

とはいえ、消費増税をきっかけとした日経平均の下落リスクはあります。さまざまな場所でヒアリングしてみると、日本株の売買の約6割を占める海外投資家は、増税による一時的な景気減速を回避するために、安倍総理が他分野での減税を明確に打ち出せるかに注目していると聞きます。

海外投資家は、「日本が今度こそ、安定した政治運営による安定した経済を構築できる素地が整っているか」を見ているようです。ここから数カ月の資本市場の動向を予測するには、まずは政治欄をチェックすることが重要です。

崔 真淑(MASUMI SAI)
Good News and Companies代表

神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。



この記事は「WEBネットマネー2013年11月号」に掲載されたものです。