黒子のバスケ脅迫事件―今年1月犯人が予告した「でっかいこと」、そして迫る「X−DAY」

連日世間をにぎわせている、漫画「黒子のバスケ」(藤巻忠俊作/集英社・週刊少年ジャンプ連載中)に関する脅迫事件。

大手コンビニエンスストア「セブンイレブン」と「サークルKサンクス」は脅迫状が届いたことをうけ、10月15日(火)に関連お菓子の撤去を発表。そして同日には大手レンタルビデオ店「TSUTAYA」にも脅迫状が届けられ関連商品の撤去が行われている。

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黒子のバスケ1巻表紙(集英社・週刊少年ジャンプ)


■昨年から始まった「黒子のバスケ脅迫事件」――

 この「黒子のバスケ脅迫事件」といわれる一連の騒動は昨年10月頃から発生している。最初に犯人が名乗ったのは「喪服の死神」。以後その名前で脅迫状が送られたり、インターネットの匿名掲示板を通じて秘密の暴露が行われるなどした。
 ただし、昨年11月頃から犯人の活動は徐々に鎮静化。今年1月犯人の仲間を名乗る「怪人801面相」の匿名掲示板への書き込みを最後にその後動きは止まっていた。

 
■「喪服の死神」と「怪人801面相」二人の犯人――

 前回の犯人は「喪服の死神」、そして今回の犯人は「怪人801面相」を名乗っている。今回の犯人「怪人801面相」は、今年1月の匿名掲示板の書き込みで一連の犯行グループの仲間として自身を紹介している。
そして、前回の脅迫ターゲットは「黒子のバスケ」に関するイベント。今回は「黒子のバスケ」に関する商品。脅迫文や声明文を送りつけた先も前回と今回では随分その色合いが異なる。

▼「喪服の死神」主犯

・上智大学(作者藤巻氏が通っていた大学)
・各展示場(東京ビッグサイト他)
・同人イベント主催者(コミックマーケット他)
・黒子のバスケ関連イベント(「ジャンプフェスタ2013」での関連イベント他)
・文化放送
・毎日放送
・TOKYOMX※
・BS11※
・アニマックス※
・バンダイチャンネル※
※匿名掲示板上の書き込みで明かされた送付先

▼「怪人801面相」主犯

・コンビニエンスストア(セブンイレブン、サークルKサンクス)
・書店関連(TSUTAYA、紀伊国屋書店、三省堂書店、ジュンク堂書店)
・上智大学
・朝日新聞
・産経新聞
・NHK
・共同通信社
・月刊「創」
・新日本出版

 ここに書かれるものが全てではないが、前回に比べ今回の方が明らかに社会的影響の大きさを狙っていることが伺える。そして、犯人名の「怪人801面相」も、1980年代に発生した「グリコ・森永事件」の犯人「かい人21面相」を連想させるものであり、その印象をより濃くさせる。
 ただ、前回と今回で微妙な不一致さは感じられるものの、犯人はこれまでの「犯人一味」を名乗っているし、「黒子のバスケ」を標的にした脅迫事件であることは変わりない。そこで、それ以外に前回と今回で共通する出来事がないか、これまでの犯人の動きを時系列で並べてみた。すると、犯行開始日に共通点があることがわかった。

 
■全ての始まりは「10月12日」――

 明らかな活動が最初に確認できたのは昨年2012年10月12日(金)。
この日13時頃に、千葉県内にあるインターネットカフェから匿名掲示板に「喪服の死神」名で犯行予告が投稿された。そしてその日の19時、作者が通っていた上智大学内で作者を中傷する文書とともに液体入り容器が発見された。また同日には都内から複数へあて文書が投函されている。

 そして今年2013年最初に起こったのは、10月15日(火)に「セブンイレブン」と「サークルKサンクス」から発表された関連商品の撤去。脅迫状が届いたための対応だった。
 時期を同じくして、朝日新聞社、産経新聞他報道各社に声明文が届けられる。その文書は、最初に届いた産経新聞の消印が10月12日(土)、朝日新聞の消印は10月13日(日)。産経新聞の投函元は不明だが、朝日新聞では「さいたま市内」と紹介されている。

 こうして見比べると、二つの出来事は「10月12日」に開始されていることが分かる。
以下が犯人の行動で分かる範囲の日付と時期

▼「喪服の死神」主犯

―2012年
10月12日(金):東京都内から脅迫状を投函/匿名掲示板書き込み(午後1時頃)/上智大学に作者を中傷する文書が貼られた液体の入れ物発見される(午後7時頃)
10月26日(金):大阪市内から脅迫状を投函/匿名掲示板書き込み
11月中:東京都大田区や愛知県から脅迫状を投函
11月20日(火):匿名掲示板書き込み

―2013年
1月17日(木):匿名掲示板に「怪人801面相」が登場。(初登場)そして一連の犯行の休止宣言をする。

▼「怪人801面相」主犯

―2013年
・10月12日(土):産経新聞宛の声明文にはこの日付の消印
・10月13日(日):朝日新聞宛の声明文にはこの日付及び、さいたま市内の消印
・10月15日(火):セブンイレブン、サークルKサンクス関連お菓子撤去を発表/TSUTAYA宛に脅迫状が届く/月刊「創」編集長宛に声明文が届く、消印はさいたま市内
・10月23日(水):月刊「創」編集長宛に声明文が届く、消印は宝塚
・11月3日(土):TSUTAYAに犯人から指定があった商品撤去リミット
・11月4日(月):犯人が産経新聞に宛てた声明文で明かした「X−DAY」

「怪人801面相」主犯のものについては、判明している投函日は土日に集中、そして判明していないものについては到着日から逆算すると恐らく土日のどちらか。今回声明文の届け先の一つ月刊「創」編集長の篠田博之氏も自身のサイトで触れているが、“犯人は「週末」に集中して活動”しているように思われる。

 
■今年1月「怪人801面相」が示唆した今回の事件――

 今年1月に今回の主犯「怪人801面相」は、「喪服の死神」の仲間を名乗って一連の犯行休止宣言を行なっている。
実はその際、今回の犯行を示唆する内容も投稿していたので紹介したい。

(引用ここから)
この声明は事件終結宣言やないで
同人誌即売会攻撃終結宣言や
そこんとこは間違えんようにな
わしらは夢はもっとでっかく持つことにしたんや
ただでっかいことをするには仕込み期間が必要やからな
次に会えるのはしばらく先や
そんときのわしらは完全に「ぱぶりっくえねみー」になっとるからな
(引用ここまで)

 ここで言う「ぱぶりっくえねみー」とは恐らく「反社会的」という意味。そして最近発生している一連を考えると、たしかに社会的影響が強い企業相手に「反社会的」な行為をとっているし、また仕込み期間を経て充分に練った形で犯行に至ったことも伺える。犯行開始日の一致もその印象をより強く感じさせる。

 そして気になるのが「でっかいこと」という書き込み。今回の標的セブンイレブンやTSUTAYAは確かに業界大手である。それを「大手=でっかいこと」と表現している可能性もあるが、気になるのは産経新聞に届けられた声明文の中で、上智大学の名前を挙げ「X−DAYは学園祭の最終日」(11月4日(月))と書いている事。

「反社会的行為」と上智大学の名前をあげた「X−DAY」宣言、そして「でっかいこと」。犯人が何を思い、何を企んでいるのかはまだ分からないが、「X−DAY」の舞台に選ばれたのは奇しくも一連の騒動の幕開けの場所である。そして今回の事件も昨年と同じ日に犯人は活動を始めている。恐らくこれは偶然ではないだろう。とすると、事件幕開けの場所「上智大学」で、犯人は騒動の幕引きを図ろうとしている……。どうもそんな気がしてならない。

参考:
月刊「創」編集長・篠田博之氏
産経ニュース:「黒子のバスケ」脅迫で産経新聞などに犯行声明文 毒入り示唆、コンビニが菓子撤去
朝日新聞デジタル:漫画「黒子のバスケ」菓子撤去 コンビニに「毒入れた」

※11月4日を誤って日曜と表記しておりました。訂正してお詫びいたします。