(C)TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会
(5話より)

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第5話放送直前!「キルラキル」「キャラクターデザイン・すしおのインタビュー後編です。(前編はこちら)

「グレンラガン」なんてやらないと思い、ふてくされた日々

───今石さんの作品「天元突破グレンラガン」(以下、グレン)に参加した経緯って何かありましたか?
すしお 「トップをねらえ2!」(以下、トップ2)の最終話の作画監督をやっているあたりで、「グレン」が動きはじめたんですよ。そのとき、吉成さんとか「トップ2」の主要スタッフを「グレン」にもっていかれてしまって。それに腹が立っていて、「絶対に『グレン』なんてやらねえ!口のあるロボットきらいだし!」とか思っていて(笑)。
───「トップ2」をやっているときに、みんながグレンをやっている状態はイヤだったと?
すしお しかも机の区画が同じっていうか、僕のまわりには「グレン」のメインスタッフが全員いて、その区画では僕とキャラ作監の柴田さんだけ「トップ2」をやっていた状態だったんです。みんながめっちゃ楽しそうで、「いいね、楽しそうでよー」ってイラついていました(笑)。
───本当はすしおさんもそこに入りたかったとか?
すしお いや、そのときはやりたくないって思っていました。「がんばってく・だ・さ・い」って(笑)。まあ、自分のことしか考えてなかったってことです(笑)。そんな感じで、ずっとふれくされていたまま「トップ2」が終わって、「グレン」がはじまったんですよ。そこで、ギガドリルブレイクのバンクシーンを頼まれたんですけど、それも「まあ、やりますけど……」ぐらいの感じのノリでやって(笑)。
───まだそのときも、わだかまりというか、引いている感じですね。
すしお そのバンクをやっているぐらいの頃中に、今石さんに15話のコンテを渡されたんです。「すしおのステージ、用意しといたから」って言われて、僕の心が溶けたっていう。「今石さん……!!」みたいな(笑)。
───中島さんもおっしゃっていた今石さんの人たらし力ですね。
すしお 「ああ…。えっ、なに?」って感じで完全にデレましたよ(笑)。今石さんの仕事はやったら楽しいっていうのは確実だし、15話のコンテを読んでも勝負話数だったし、それを振ってくれるということは信頼されているのかなって思って、じゃあ頑張ろうかな!って。

アニメーターの力量が問われるコンテは楽しく描ける

───その15話はやってみてどうでした?
すしお 今石さんの作品って楽しいけどいつも地獄なんですよ。作業中は「こんな内容のコンテ描きやがって〜!」とか思うんですけど、完成するとやってよかったなっていつも思うんです。ガイナックスの作品は、そういうものばっかりなんですけどね。たとえば、鶴巻さんの作品も「大変すぎだよ、これ!」とか思うんだけど、コンテの内容に無駄がないし、描いていて楽しいんで完成すると「おお!」ってなって、やってよかったって気持ちになる。
───その内容ってどんなことですか?
すしお 今石さんのコンテは常にざっくりめではあるので、一見ラクそうに見えるんですけど、要求が高いんです。だけど低くても成立するようにコントロールされているんです。普通にコンテの内容を満たせば完成するけど、そこにアニメーターが味付けできるスキマが結構あって。その結果、自分で大変にして自爆することも多いんですけど、その味付けによって化学変化というか、コンテよりよくなるということがあったりするんです。
───おもしろいけど、大変ですよね。
すしお 大変なのはわかっているんです。「トップ2」の最終話で、「これ以上大変なボリュームの仕事は今後ねえな!」って思ってたら、「グレン」の15話はもっと大変で「これ以上は流石にないっしょ!」って思ってたら、その後も「グレン」劇場作品ではもっともっと大変で「ぬお!15話より大変やんけ!」ってなって、さらに「キルラキル」はもっとすごかったという(笑)。
───今後の「キルラキル」の見どころ、お気に入り話数ってありますか?
すしお 全部お気に入りですね。あとは自分が子供の頃に観ていたアニメ、たとえば「魔神英雄伝ワタル」などを観たときのドキドキやワクワク感を、今の人に味わってもらいたい。ワクワクして、ドキドキする感じですね。

「キルラキル」大好き!たまごまごの質問コーナー

───(以下、質問者変更)すしおさんといえば「AKIRA」好きでたくさん影響を受けていると思いますが、やっぱり作品ではダンゼン「AKIRA」が好きですか?
すしお そうですね。何の仕事をするにも「AKIRA」のネタの引き出しをあけますね。色とかレイアウト、どの絵にも少し混ざっていて、自分の魂にしみ込んでいるというか。今の絵柄は全然「AKIRA」っぽくないんですけど、実はすごく入っているんです。アニメも再生できるますし。
───「AKIRA」以外にも影響を受けた作品や絵柄、たとえば何かの出来事ってありますか?
すしお 昔、美少女キャラがすごい好きだったので「きゃぴ〜!」みたいな、女の子のかわいいポーズばっかりを描いていたんですよ。そしたら後ろを通りかかった鶴巻さんが「お前、いつまでそんな絵を描いてんだよ」と言ってきたんです。
───おお!ストレートな一言がきましたね。
すしお そして「もっとこういうの描け」って言って、当時発行されていた「アウフォト」(新潮社)っていう雑誌を持ってきたんです。それは素人が投稿した写真を掲載している雑誌で、たとえば教室でみんなが騒いでいる写真とか、恋人同士がスナップをとりあっている写真とか、自然な表情や仕草がたくさん載っている本で。「もっとこういうのを描けるようにならなきゃダメだ」って言われて。
───その雑誌で勉強しなさいというメッセージですよね?
すしお 最初はわからずにそれを模写していたんですが、その表情を参考にアニメのキャラを描いたらすごくイキイキしたんです。そのイキイキした表情をたくさん描くようになったら、いまやっているアニメの表情が全然表情が豊かじゃないってことに気づいて。そこから表情をつきつめたり、その人の仕草や体重、利き手まで意識したりして描くようになったら、トメ絵でも動いているポーズを描くようになったんです。
───今まで手がけた数多くの作品の中で、お気に入りのシーンとかありますか?
すしお 「おジャ魔女どれみ」は印象に残っています。最終話のレイアウトは泣きながら描いたんですよ。最終話でどれみにクラスのみんなが「わー!」って抱きついてくるっていうカットを描いていて、「これでどれみ描くのも最後か…」と思ったら、ぽたぽたと涙が落ちて。そしたら後に「おジャ魔女どれみナ・イ・ショ」が制作されるって聞いて「おい!」となって、「嘘だろ!オレの涙かえせ!」って(笑)。それはさておきでも、「おジャ魔女」でオープニングデビューしたり、アイキャッチを描かせてもらったりとか、いろんなことをやらせてもらって、いい修行をさせてもらいました。馬越(嘉彦)さんもこっちを誘導してくれるような修正をしてくれて、この作品をやってすごく画力がアップしたと思います。ストーリーも良かったし、感情を表現する芝居がたくさんあったのも良かったなって。そういうのをやってきたおかげで、キャラの感情の芝居にこだわるようになったんだと思います。
───今後「キルラキル」で注目すべき動き、アクションってありますか?
すしお 今後は自分で動きを描ける時間が減っていくので、あんまりなくなっちゃうかもなぁ。でも、そのキャラクターがやらないような芝居は絶対にさせないように心がけています。たとえば、どんなにうまい人がすごい作画で描いてきても、それが流子の芝居じゃなければ直します。キャラがやらないことはさせないです。
───「キルラキル」でこだわっているポイントをお聞かせください。
すしお 昔のアニメーターさんの芝居の作り方をなんとか表現しようと持っています。たとえば、「ルパン三世 カリオストロの城」が一般の人が何回も観たがる理由のひとつに、“見やすさ”があると思っていて、そういうところを目指していきたいと思って。
───そう思ったきっかけって何かあったんですか?
すしお 「グレン」のイベントとかで、お客さんと触れ合ったことがデカイです。それまではアクションのシーンを描いても「かっこよければ、画面内がガチャガチャ動いてわかんなくてもいいや」とか思っていんですけど、お客さんと接してから「見やすくて楽しい作画をするようにしよう」っていう気持ちになって。それからは作画をつきつめるより、そのシーンの感情をいかに表現できるかっていう方向にシフトチェンジしましたね。それまでは自分のエゴというか、こういう芝居が描きたいから描くみたいな。つまり、さっき自分が否定したような、そのキャラがやらない芝居も結構やっちゃっていた気がするんですよね。そういうことではなくて、ちゃんとキャラクターの動きを描こう、と思って仕事をするようになりましたね。
───「キルラキル」でキャラクターデザインをされて、一番会心の出来だったのはどのキャラクターですか?
すしお どれもピンときた瞬間があるので、全員会心の出来ですね。全部「はい、キター!」って思ったので、相当みんな濃いです。
───制服ギミックなど、細かい部分での設定が多い作品ですが、このあたりはすしおさんがデザインされているのでしょうか。
すしお コヤマ(シゲト)さんのアイディアが多いと思います。一応、僕がキャラクターデザインという名前で出ていますが、デザインチームで作っている感じなので、あんまり胸を張って「キャラデやりました!」みたいには言えないです。今石さんも含めた、デザインチームみんなのアイディアの集大成で作られているので。
───若林さんのインタビューにもあった、デザイン打ち合わせですね。
すしお たったひとつのパーツに対しても、こういう形のほうがいいんじゃないかとか、みんなでずっと話しているんです。この打ち合わせは長時間なんですけど、楽しいのであっという間ですよ。昔、「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」のデザイン打ち合わせに一度だけ参加したことがあって。そのときはみんながひとつの細かいパーツについてずっと話し合っているのを見て、「もう、それでいいよ!」とか思ってたんですけど、今回やってみて大事さがすごくわかりました。
───ちなみにお気に入りのキャラはいますか?たとえば、サインを頼まれて描くとしたら誰ですか?
すしお マコですね。全部、丸を書けばマコができちゃいますから。目も丸だし、輪郭も丸ですからね(笑)!
(小林美姫)

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