福島第一原発の汚染水流出問題を受け、韓国政府は福島など8県の水産物の輸入全面禁止に踏み切りました。これに対して日本政府は、「出荷される水産物はいずれも基準値を下回っており安全規制には科学的根拠がない」としてWTO(世界貿易機関)への提訴を検討しています。

 これについては日本側の主張が正しいのは明らかです。韓国のひとびとが日本の水産物の安全に不安を感じているのなら、韓国政府は日本の管理体制を検証したうえで、問題があるのなら改善を申し入れ、そうでなければ食の安全を国民に説明すべきです。

 とはいえこの問題で、日本政府がこうした正論を振りかざすのには違和感があります。

 2003年に米国でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が見つかると日本は輸入禁止措置をとり、日米両国の協議を経て05年から生後20カ月齢以下の若齢牛に限定して輸入が再開されました。しかしこの規制は、その後米国から「科学的根拠がない」としてずっと批判され続けます。

 1980年代から90年代にかけて英国で発見されたBSEは、飼料の肉骨粉が感染源であることが特定され、感染牛からつくられた肉骨粉を厳しく規制することで、現在では発生がほぼ止まっています。これを受けてOIE(国際獣疫事務局)などの専門組織は、特定危険部位を除去すれば月齢にかかわらずBSEのリスクは管理できるとして月齢条件を撤廃しました。こうしたことから疫学の専門家の間では、「20カ月齢という日本の安全規制は無意味」というのは常識でした。

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